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LUMA Partners の創設者が、カオスマップ(LUMAscape)を発表した理由

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カオスマップとLUMA Partners

アドテクノロジーの文脈でこれまでに数多くの言及がされており、インターネット広告や広告技術に少しでも関わったことがある方ならば誰でも見たことがあるのが「カオスマップ」です。

「カオスマップ」は、2010年に LUMA Partnersが作成した業界地図「LUMAscape」のうちの一つで、ディスプレイ広告の業界地図を表したものです。他にもソーシャルや検索、Eコマースなどいくつも LUMAscape があるのですが、ディスプレイ広告のスライドがその複雑さゆえに話題になり、LUMAscape といえばほぼディスプレイ広告のカオスマップのことを指すほど有名になりました。

※ちなみに、この LUMAscape についてはスケールアウトの菅原さんが MarkeZine に寄稿した解説記事「ディスプレイ広告領域のカオスマップ、きちんと読めますか?」が数あるカオスマップ系記事の中でも白眉ですので、未読の方はぜひご一読下さい。


一方で、LUMAscape のディスプレイカオスマップ(Display LUMAscape)のことは知っていても、このスライドを作成した LUMA Partners がどんな会社で、何を意図してこのスライドを作成したのか、知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

そこで、今回はデジタル広告オペレーションについて常に良記事を送り出しているメディアAdMonstersに2013年3月に掲載された、LUMA Partners の創設者である Kawaja氏についての解説記事 "Know Kawaja, Know LUMAscapes"(Kawaja氏を、そして LUMAscape を知る)を紹介してみたいと思います。

以下は、AdMonsters の承諾を得て同記事を抄訳したものです。Terry Kawaja氏は何者で、どのような意図でカオスマップを作ったのか、アドテクノロジーの分野で広く人口に膾炙しているカオスマップを改めて理解するための一助になれば幸いです。



Original source:
Know Kawaja, Know LUMAscapes
http://www.admonsters.com/blog/terry-kawaja-lumascapes




Kawaja氏と、LUMAscapeを知る


「ここからは徐々に落ち着いてくると思います。」と LUMA Partners の創設者であり CEO のTerry Kawaja氏は言いました。「ただし、このうち10カテゴリは、絶えず更新されていきますが。」

たくさんの企業ロゴが詰め込まれ、「DSP」「DMP」「SSP」などとカテゴライズされた概念図である LUMAscape は、ディスプレイ、検索、動画、モバイル、ソーシャルなどなど…多くのチャネルそれぞれに存在します。LUMAscape に記載された矢印は、広告がそれぞれのカテゴリをどのように経由して広告主から媒体社へ届くのかがわかるようになっています。広告主から媒体社というのは、言い換えればマーケターから消費者へ、開発者からユーザーへということです。

「単に話題になっているだけに過ぎません。」 Kawaja氏はスライドシェアの数字を見てそうコメントしました。2013年3月のある1週間で LUMAscape(ディスプレイの LUMAscape 以外も含む)は、のべ9,300回の表示もしくはダウンロードがありましたが、これは、アメリカだけの盛り上がりではなく世界的な現象です。それは、同年3月のある2日間でスライドシェアに36カ国からのアクセス(計116カ国)があることからも証明されています。また、同スライドにはこれまでに7つの書籍から掲載許可依頼が届いたほか、実に多くの白書や資料に引用されてきています。

LUMAscape は、今ではデジタルメディアの収益化の未来について議論する際にはなくてはならないものになりました。LUMAscape の設計者の一人であるAmanda Bicofsky氏は2013年4月(※)にニューヨークで行われるAdMonsterのカンファレンスで、この企業ロゴが敷き詰められた概念図の分析が、モバイルの伸長、コンテンツとコマースの結合、プログラマティックトレーディングの安定化など、昨今の業界トレンド対していかに鋭い洞察を与えるのか、キーノートとして発表する予定です。(※訳者注:元記事は2013年3月に発表されました)

一方で、LUMAscape の精巧な概念図は、多くの混乱をもまた生み出しています。この概念図は多くの参照と同時に多くの批判を連れてきます。代表的な批判の一つが、一つのプレイヤーがある一つのチャネル(カテゴリ)にそれぞれ配置されその役割のみを担っているという表現手法は、デジタルメディアの発展を実際以上に複雑に表現しているのではないか、というものです。そういった背景から、2013年の2月には、IABが自らアドテクノロジーの構成図を発表し、「デジタル広告のエコシステムが銀行家の手によって自分勝手で過剰なまでに複雑に表現されたことによって、広告主や代理店、マーケターは損害を被っている」とコメントしています。

このIABのコメントに対してKawaja氏は、「シンプルにすべての企業を記録しているだけなのに、どうして過剰に複雑化していることになるのだろう?」 と含み笑いをしながらコメントしました。

彼は続けます。「LUMAscape が完璧ではないことをあらかじめことわっておきます。我々はすべての企業をどこかのタイプに分類することも、それぞれの違いを正確に表現することもできません。あくまでこれは現状の描写でしかありません。」

LUMAscape がデジタル広告業界でどのような役割を担うのかを理解するためには、元々なぜこれが制作されたのかを理解する必要があります。LUMAscape は、細分化されたエコシステム中でそれぞれの企業がどの位置にいるのかを理解するための技術系スタートアップ向けガイダンスとして作られたのではなく、M&Aを画策する経営企画担当者向けに作られたドキュメントだということです。


ダイナミックな銀行家、Kawaja

「以前、私は思い出すだに悲惨な銀行家でした。過去50年間大きな変化が何もなかった石油や天然ガスなどのパイプライン分野に従事していたからです。本当に、当時は退屈でした。」

成熟した世界であるウォール街は、業界から業界へ渡り歩くゼネラリストはふんだんに輩出しても、Kawaja氏自身が描いていたようなアクティブな世界ではありませんでした。彼は1989年にソロモン・ブラザーズで通信系業界やメディア業界の担当を始めたときに、通信は旧態依然としたお固い業界、メディアは起業家のひしめくダイナミックな業界ということをすぐに理解しました。メディア業界は、のちに伝説となるような会社が、多くの優秀なビジネスパーソンたちによって経営されていたのです。

「メディアはとてもダイナミックな業界で、たくさんの優秀な人材がひしめいていました。そして、お固い分野よりも、動きの早い分野の方が私の性に合っていましたし、動きの早い分野では、特定の分野への深い知識こそが、銀行家として仕事をするために必要だったのです。」

メディアは確かに常に流動的に変化する業界でした。特に90年代にはメディア・放送業界の革命によってM&Aの嵐が吹き荒れました。例えば、Kawaja氏は主に16あったイギリスのケーブルテレビの統廃合や買収案件のほとんどにあたる、14の案件に関わっています。

このような大きな変革期での経験を経て、Kawaja氏は2003年にデジタルの分野に目を向けはじめました。これがのちの LUMAscape へとつながります。複雑を極めるデジタル分野のエコシステムを描写するために、誰が見ても「百聞は一見に如かず」と分かるような、現在の LUMAscape の青写真を2005年には既に描いていました。当時はまだ私的なものに過ぎませんでしたが、2009年には当時 Kawaja氏がデジタルメディア部門長を務めていたM&Aアドバイザリーグループの GCA savvian の内部で共有され、その年の10月には外部にも公開されました。

2010年5月、IAB の主催する Ad Networks and Exchanges conference のキーノートで、LUMAscape はひっそりとデビューしました。Kawaja氏は一夜にしてデジタル広告業界の道先案内人として知られることとなり、スライドシェアではこのプレゼンテーションが通算75,000回以上も表示もしくはダウンロードされています。

なお、この時点で Kawaja氏はデジタル画像の輝度を表す単位(luma)から着想を得た、LUMA Partners を設立しています。



売るのではなく、買われる

LUMA Partners のウェブサイトには、ある率直な表現の記載があります。「我々は、会社が買われる(get bought)のをお手伝いします。」

「よい企業ほど、売るのではなく、買われるものです」と Kawaja氏は言います。「売るのはかんたんです。銀行家を雇い、書類を書いて、競売に出せばいいのです。投資銀行がM&Aで使う典型的なアプローチです。」

非常に動きが早く進化し続けるデジタル技術の世界では、このような供給型のアプローチは有害となります。デジタル系企業がもっとも嫌がるのは売りに出されることです。大きな可能性を前にして会社を売らなければいけないということは、ギブアップと同義でしょう。

デジタルの進化によって、彼は投資銀行家がこの新しい分野でM&Aを行うにあたって仲買人としてどのような成長が求められるかを知りました。つまり、買収に積極的な企業への(供給型ではなく)需要型のアプローチです。

大型買収を行なった、IBM、Google、Oracle のような企業に行けば、戦略系の部署には大抵 LUMAscape が壁に貼ってあります。これこそが、LUMAscape を作成した目的です。

Kawaja氏は LUMA Partners の仲介プロセスとして3方向からのアプローチを提唱しています。最初のアプローチは、「深く潜ること」です。現在の市場のプレイヤーを知り、根底にある技術を知り、それぞれが何を欲しているか、その原理原則を知ることです。具体的には、大企業が未来のトレンドをどう捉え、どういった準備や投資をするつもりなのか、考えを及ばせることです。

次に、「デマンドサイドの内部を知ること」です。マーケターが使う広告費だけではなく、それを助ける企業の戦略について知ることです。そういった企業は何を考えているのか、次にどうしたいのかを考察することで、LUMA Partners は企業間のポテンシャルマッチングを見つけ出すことができる業界になくてはならない第三者機関へと成長しました。

最後に、LUMA Partners は「M&Aのプロセスを生業としている」ということです。「売り手は、売りに出す前に出口戦略を考えます。そして、うまくいっている独立系企業にこそ、大きな企業は興味を示すものです。」

この3つのアプローチが効果的であることの証左として、換言すれば LUMA Partners が大きなアドテク系の買収ディールにおいて中心的な役割を担っている事例として、2012年の Donovan Data Systems と MediaBank の統合や、2011年の Google の Admeld 買収、Adobe の Demdex の買収などが挙げられます。


LUMAscape を眺めてみる

LUMA Partners のアプローチを考える上で、大事なのが概念図が Strategic Buyersです。


これは、これまでのチャートとはあまり似ていません。150のデジタル業界の買収元企業がそれぞれのタイプ別に四象限(テクノロジー、ネットワーク/コマース、マーケティング、メディア)に分けられています。マーケティングとメディアはディフェンシブに分類され、業界の混乱や構造変化への対応として買収を敢行します。テクノロジーとネットワーク/コマースはオフェンシブに分類され、新しい分野に挑戦するために買収します。図の真ん中はこのチャートの中心となる企業で、Google と Microsoft がオフェンシブに、Yahoo! と AOL がディフェンシブに位置しています。

このチャートはこれまでの概念図と同様に複雑怪奇ですが、今まさに迫りつつある各企業の統廃合という特定の目的に絞って作られています。Kawaja氏の言葉を借りれば、これは「LUMAscape版モグラたたき」です。2012年と2010年の Display LUMAscape を比べてみると、53社が買収され、74社が新たにチャートに現れました。まさにモグラたたきのような忙しさです。

LUMAscape の掲載基準は 5,000万ドル(約50億円)以上の売上高が設定されています。そのことについて「LUMAscape を、みなさんが観ているような見方では私は見ることができません。」と Kawaja氏は語ります。

「すべての企業を網羅することは到底できません。この概念図は、シンプルに、エコシステムがどのように働いているかを理解するという目的が根底にあり、そのために作られています。ご理解のうえご覧いただければ幸いです。」


※本記事はAdMonstersの承諾を得て "Know Kawaja, Know LUMAscapes" を抄訳したものです。
 
 

State of AdOps #5:アドテク全盛だからこそ、メディアレップが果たす役割は大きい − サイバー・コミュニケーションズ 織田慎弥氏

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「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

第5回は、日本を代表するメディアレップであるサイバー・コミュニケーションズのイーメトリクス マーケティング本部でご活躍されている、広告運用といえばこの人ありと噂の織田慎弥さんに、運用広告の現在についてお伺いしました。



# インタビューは 2013年4月某日に行われました。


広告主様とメディア様の幸せを両立できないか。


現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

現在は、サイバー・コミュニケーションズ(以下cci)の中のイーメトリクス マーケティング本部で、DSPのセールス、ディレクションを担当しております。

イーメトリクス マーケティング本部は、DSPを軸においた運用系広告商品の販売、販売後のアカウント/キャンペーン設計、結果のフィードバックや考察の提供、また、それを基にした改善までのPDCAを回していくことをトータルでサポートしている部署です。また、DSPに限らず、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、ソーシャル等の分野まで幅広く扱っております。

私は2010年11月よりアドエクスチェンジの運用に携わっておりまして、その後リスティング広告の運用やDSPも扱うようになりました。前職はネット専業の広告会社でSEMやアクセス解析を行なっていました。

現在の仕事に至るまでの経緯ですが、広告会社時代に広告主様に近い立場で仕事をしていく中で、お客様のご要望をメディアプランや最適化案に落としこむことがバイサイドだけでは限界があると感じていました。メディアレップに立場を移すことで、広告主様が求めていることや実際の評価等をメディア様にフィードバックすることで、キャンペーンの成功確率とメディアの質を同時に上げていくことができるのではと考え、現在のメディアレップで働きたいと考えたのがきっかけです。



メディアレップはメディアに向く立場になると思いますが、実際にDSPを運用されるというのは珍しいですね。

普段は広告会社様と一緒に広告主様へ提案することが多く、受注すれば先ほどのPDCAをすべてカバーしますので、メディアレップの中でも珍しい立ち位置だと言えるかもしれません。

メディアレップが広告の運用を行う利点は、広告主様への価値提供と同時に、先ほど申し上げたようにメディア様にもフィードバックできる点です。

イーメトリクス マーケティング本部は社内で一番広告主様に近い立場にあります。例えば、当社 が米国OpenX Technologies社と提携して日本国内で提供しているアドエクスチェンジ「OpenX Market Japan」について言えば、担当部署であるメディア開発部と定期的にミーティングを設け、「(cciが提供している)OpenXをどう活用するか」「DSPでどのように買い付けするとメディアのCPMが上がるか」いった情報交換を行うことで、バイサイドの情報をセルサイドにフィードバックする体制づくりをしています。

メディアだけでなく、オーディエンスデータも同じです。DMPが注目されていますが、オーディエンスデータをDSPがターゲティングに活用していく流れも、やはり広告主様側を向いている組織の役割は重要です。

イーメトリクス マーケティング本部はiソリューション部というデータを集める部署とも定期的にミーティングを行っています。オーディエンスデータを活用した広告配信の結果を共有することで、単なる閲覧履歴を溜めるだけではなく「会員情報やデモグラフィック情報などが重要ですよ」といったフィードバックをするようにしています。



広告主側を向く組織があることが、メディアレップの本来の役割を強化していく、ということでしょうか。

そうですね。メディアレップというのは広告主様や広告会社様のご要望を伺い、メディア様側の空いている枠を押さえていくという仲介業としての役割を担っていますが、バイサイドの生の声がどうしても届きにくいという難しさがありました。

現在ではDSPを通じて様々なデータを取得できますので、そこで得た知見をデータやメディア様にフィードバックしやすい環境が整ってきていると思っています。そして、その結果、広告主様や代理店様にも広告効果というかたちで付加価値をつけてお返しできると考えています。



DSPがメディアレップの強みを強化する。


いま仰ったような取り組みは、やはりDSPがないとできなかったことなのでしょうか?

そうかもしれません。これまではアドネットワークのような運用というよりは幅広く掲載することを重視したものが多かったため、データを見ながら運用することが難しかった印象を受けています。

DSPが登場してよかったと思う点は2点ありまして、1つは、従来のディスプレイ広告では難しかった「運用ができる」ということです。データの取得、細かいターゲティング、外部のソリューションと繋ぐことができるなど、様々な動きが可能なことですね。

cciはもともとたくさんのソリューションを保有していましたが、DSPにそれを接続して機能拡張することで、メディアレップとしてのこれまでの強みをさらに活かせるようになったことが背景として挙げられます。

2つ目は、広告会社様や広告主様と密接な関係づくりを進めることができたことです。DSPは運用型の商品ですので、仮説→実施→検証→改善というPDCAサイクルを回すことが前提になるため、どうしてもお客様の懐に入らないと効果的な提案ができません。

取引は機械が瞬時に行いますが、運用するのは人です。様々なデータを扱い、分析と改善を繰り返していきますので、活用にはどうしてもノウハウが必要になります。結果として、代理店様や広告主様との密接な関係づくりがないとキャンペーンは成功しませんので、現在のような取り組みに繋がっているのではないかと思います。


今後はこういった動きは加速していくのでしょうか?

現在は実験的に私の部署で実施したかたちとなっていますが、徐々に拡大していければと考えています。もちろん、人員も増加予定です。




データマネジメントが強みになっていく。


現在のお仕事のどのあたりに面白さを感じていらっしゃいますか?

現在はDSPを軸に運用することが多いですが、メディアレップですので、アドネットワーク、モバイル広告、純広告など、トータルで扱えるのは非常に面白いと感じています。

例えば、DSPの運用から、行動履歴データなどのインサイトデータを取得し、それを基に純広告のプランニングやソーシャルの活性化などに繋げていく、という提案です。これまでの広告枠の単品売りから、キャンペーンの目的に合わせた総合的な提案に派生していき、それがうまくいった瞬間は本当に面白いですね。


インサイトデータを活用ということは、DMPも今後重要になっていきそうですね。

まさにそのとおりで、我々はこれまで多くのメディア様にご協力頂き、かなりの量のオーディエンスデータを保有していますので、DMPのような機能がもともとあります。 

今後は、アドエクスチェンジが広告在庫をオープンな取引市場に開放しているように、このDMPの部分をオープン化することで、広告主様や広告会社様が自由に買い付けができるプラットフォームが登場してくるのではと予測しております。

我々としてもそこでセグメントの設計や、オープン化されたオーディエンスデータのDSPへの接続、それらの一連の流れをサポートすることがオリジナルな強みとして打ち出せていけるのではないかと考えております。

親会社の支援と扱えるDSPの種類はPC・モバイルに限らず豊富ですし、アドネットワークも「ADJUST」を含めて複数の取り扱いがあり、数多くのプラットフォームを扱っています。これにオーディエンスデータを絡めていくことができるのがメディアレップならではの動きだと考えています。



アクセス解析と広告が近づいていく環境が整ってきた。


一方で、現在のお仕事で感じてらっしゃる課題などがあればお聞かせ下さい。

これまでの単品売りではなく横断的な提案が主流になってきていますので、分析も当然横断的になります。そうなると、どうしても作業が細かくなり、データも多くなりますので、キャンペーンに関わる広告主様、広告会社様、制作会社様等、すべてのステークホルダーのリテラシーが問われます。

把握できるデータの量や種類が多すぎて、結局何を見ていいのかわからなくなり、「何となくよかったね」ですとか「最終コンバージョンはどうなの」といった評価で終わってしまうことがあるのは残念だなと思うことがあります。

先ほどは広告主様や広告会社様と密に連携するというお話をしましたが、それでもメディアレップという立場上、私が提案全体を取り仕切ることはありませんし、広告主様には広告主様の、広告会社様には広告会社様のご要望もありますので、意図しない結論に帰着することがあるのは、ジレンマを感じることがありますね。

もちろん、いつもそうなるというわけではなく、一部の広告会社様とは以前から密に連携していますので、多くのキャンペーンでたくさんの成功事例を出すことができています。



なるほど。実務面での難しさなどはありますか?

私は自身で運用するだけでなくディレクションを行うことも多いのですが、このディレクションが非常に難しいです。運用型広告はプラットフォームが多いので、運用担当者は必然的にプラットフォームごとに分かれがちなのですが、それぞれの運用を行う方々にいかに適切に指示を出すことができるか、いつもこれに腐心しています。

DSPはDSP、アドエクスチェンジはアドエクスチェンジ、リスティングはリスティングなど、どうしてもそのプラットフォームだけの担当になってしまうので、連絡や指示を間違えてしまうと、トラッキングの不備でデータが紐付いていない、必要なデータが取れていない等の事故に繋がってしまうので、ディレクションには細心の注意を払うようにしています。気を使う範囲が広いですね。

あとは、少し話がそれてしまうかもしれませんが、データの分析面でもまだまだ現場として課題が多いと感じています。

以前から課題だと思うのですが、アクセス解析のアナリスト広告のプランナーは分析の視点とゴールが微妙にズレていることが多いため、広告のリプランに繋がるようなアクセス解析レポートを出力することに苦労することがあります。

オーディエンスターゲティングを引き合いに出すまでもなく、キャンペーン自体を目的としたターゲットがいますので、どういう人に対して、どういうタイミングでどんな広告を出せばいいのか、そういったことが読み取れるレポートを出すことが大事だと思っています。そうすることで、どこで態度変容して、どのようにコンバージョンに至ったがわかり、次に繋がります。

アクセス解析のアナリストはウェブサイト内の動向にフォーカスした分析をすることが多いですし、広告マンは分析が必ずしも得意ではありません。「アトリビューション」という言葉が出てきたことによって、この2つをようやく繋げることができる環境が整ってきたと思いますし、お互いにどうすればいいか、議論できるフレームワークができてきたと考えています。




オリジナルなものを提供しつづけたい。


今後のアドテクノロジーの分野の展望をお聞かせ下さい。

あくまで個人的な意見ですが、DSPの使われ方が大きく二手に分かれていくのではないかと考えています。

一つは、最終コンバージョンをコミットするような、CPA重視のタイプ。コンバージョン課金のようなタイプで出てくると思います。ここになると、アフィリエイトに近いやり方ですね。一部のトレーディングデスクもそういった動きを取ることになるでしょう。

もう一つは、CPAだけではなく、広告を横断的に分析していき、効果を正しく評価していくモデルです。cciはどちらかといえば後者を志向していますし、コンサルティングを強化していくことで、アトリビューションを含めてユーザーの行動を分析し、アクションにつながる広告を出していけるような方向へ進んでいくと考えています。

先ほどお話しした、データのオープン化に期待する理由も、その一つです。ビッグデータ時代だと世間では騒がれていますが、オーディエンスデータで利益を上げている事業者はまだまだ少ないですし、データの整備や供給にコストをかけすぎると配信も含めたトータルコストで割に合わないのではというもっともらしい意見もあります。

それは、評価指標そのものが間違っているのではないかと個人的には思っています。どのオーディエンスがいいのか、態度変容に影響を与えた広告はどれなのか、マルチにとっていくことで適切な評価をすることが当たり前になる文化を目指していきたいですね。



そのなかで、織田さん個人はどのような役割を果たしていきたいと考えていらっしゃいますか?

オーディエンスデータの設計やメディア様とのコネクションなどは他にないメディアレップならではの強みですので、適切なデータセグメントに対して適切な広告を出し、その結果をメディア各社へフィードバックすることで、新しい広告枠やターゲット手法が生まれていく、そのような関係者すべてにメリットがあるようなオリジナルの広告商品を作っていきたいと考えています。

最適解は、おそらく100社あれば100通りあるのだと思います。それぞれの企業様ごとの勝ちパターンを、オーディエンス目線とメディアの目線、両方の視点から作っていきたいです。オーダーメイドのアドテクノロジーですね。



最後にこれは言っておきたい!ということがあればぜひ。

最終コンバージョンしか見ないような広告評価だけではつまらないので、第三者配信やアトリビューションの概念がもっと浸透してほしいと思っています。

また、クロスメディア、オフラインとオンラインの相関など、全体の価値を俯瞰できるようなキャンペーンにもっともっと取り組んでいき、会社としても個人としてもトップランナーとして進んでいきたいと思っています。



サイバー・コミュニケーションズ (cci)
http://www.cci.co.jp/ 

商品リスト広告(PLA)の最適化について考えてみる

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利用が進む商品リスト広告(PLA)

2012年12月に「商品リスト広告(PLA)についてまとめてみる」という記事を書きましたが、その後、2013年の第一四半期(1-3月)には米国のテクノロジーベンダーや調査会社から次々とクリスマスシーズンにおけるPLAの快進撃を伝えるレポートが届き、2013年2月には日本でもGoogleショッピングの有料化への移行が完了するなど、以前にも増してPLAに注目が集まってきているように思います。


※PLA=Product Listing Ads 日本語では「商品リスト広告」ですが、本記事では以下「PLA」と表記します。


<参考>
Inside AdWords-Japan: 日本を含む各国で Google ショッピングの移行が始まりました

Advertisers Increased PLA Budgets By 600% In Q4; Trend Likely To Continue
(広告主が第四四半期でPLAに投じた予算は600%増に)

Source: Marin Software


第四四半期(10-12月)は伸びに伸びたPLAでしたが、一方で、「この時期はクリスマス需要があり1年で最も小売の需要が高まる時期なのだから伸びるのは当たり前じゃないか」という意見もあるにはありました。

しかし、ここ最近の調査では、翌第一四半期(1-3月)は前四半期以上に大幅に伸びているため、季節性とは関係なく、PLA自体の利用率とマーチャントフィードの活用が進んでいることを物語っています。

Source: CPC Strategy Blog


対応を進める広告主と、対策を進める競合企業

今後は商品情報表示オプションが終了し、PLAに統一されていくようなので、ますますリスティング広告を利用するEコマースにとってPLAはマストな手法になっていくと考えられます。

PLAの利用社数の増加にともなって仕様も毎月のように進化を続けており、2013年3月にはスマートフォンへの配信がスタートしたほか、2013年4月にはPLAを掲出するために必要なGoogleマーチャントセンターの必須項目が増加され、5月にもフィードの項目が更新が発表されるなど、矢継ぎ早に出る新しいリリースに対応しようと広告主各社は対策を進めています。


<参考>
Reach smartphone users around the world with Google Shopping
(Googleショッピングで世界中のスマホユーザーにリーチしよう)

Googleマーチャントセンターの仕様変更を解説:Web担当者なら押さえておきたい最新動向

Inside AdWords-Japan: Google ショッピングのフィード仕様を変更しました



対応を進めているのは広告主だけではなくGoogleのライバルも同様です。

Facebookは昨年の発表以来ややスロースタートだったFacebook Gifts のグローバル展開を進めているほか、マイクロソフトが運営するBingでは2013年の第三四半期(7-9月)にはPLAと同様の「Product Ads」をスタートさせると発表しました。Shopping.com や Amazon Product Ads なども今後の動きが活発化してくると考えられます。


<参考>
Facebook begins allowing international users to buy Gifts for friends in U.S.
(Facebookが米国在住のユーザーへギフトを贈る機能を他国のユーザーへも開放)

Prepare for Product Ads Coming in Q3 2013
(2013年第三四半期のProduct Ads 発表に向けて準備中)

Source: Microsoft bing ads blog



トライから最適化のフェーズへ

利用企業が増えてくれば、その次は最適化などの実際の活用方法に視点が移ってきます。

PLAは通常の検索連動型広告と比較してCPCが低いため費用対効果にも優れているというのが一般的な理解ですが、広告とマッチングされる検索クエリはコマーシャルクエリに限定されるため通常の検索連動型広告と比較すると表示機会は必ずしも多いわけではなく、Eコマースでは既に激戦区になっている分野も多いため、企業によっては必ずしも費用対効果が高いと言い切れるものでもなさそうです。

Googleもそのあたりは察してか最適化の方法をブログポストしていますが、まだまだ最適化と言える運用をしている企業は少ないかもしれません。

PLAがスマートフォン対応になったことによって、ショールーミング(実店舗で現物を確かめてから、購入はその場もしくは後日オンラインで行う形態)への対策としてもPLAが有効に機能するようになったと言って差し支えないと思います。今後は、単なる費用対効果の視点だけでなく、販売チャネルや顧客接点の最大化という意味でもPLAの採用は進んでいくのではないでしょうか。

一方で、スマートフォンの小さな画面に表示される広告は「商品画像」「タイトル」「金額」というわずかな情報であるため、それらを的確に表示させていくための商品ごとの情報や画像の整備、つまりはマーチャントセンターに登録するためのデータベースとフィード環境の整理がこれまで以上に課題になってくると言えます。エンハンストキャンペーンもPLAには適用されますので、デバイスごとの調整なども今後は考慮に入れていくことが必要になってくるでしょう。



3つの最適化

PLAが通常のリスティング広告の最適化作業と比較して難しい点は、考慮しなければいけない範囲の広さにあると思います。

PLAを効率的に運用していくためには、広告の管理画面上での追加変更やウェブサイト側のLPOやEFOなどの通常の最適化作業に加えて、「マーチャントセンター内のプロダクトフィードの整備」と、「企業内データベースをマーチャントセンターへ更新情報として送り続ける環境の構築」の2つが余計に必要になります。

つまり、PLAの最適化は、

(1)広告側でのキャンペーン構築、分析や入札などの運用
(2)広告側でのターゲットするためのマーチャントセンター内のデータ整備
(3)(2)のデータの元になるデータベースと、そのフィード構築の整備


という3つの異なるシステムでそれぞれの最適化をうまくバランスしていくことが必要になるため、真面目にやろうとするとどうしても腰が重くなりがちです。

そのため、結果として (1)の管理画面での設定を[すべての商品]ターゲットのみで済ませたり、(2)や(3)を担当者が夜な夜なエクセルで集計しアップロードしている、ということがどうしても現場では起こってしまいがちです。PLAの導入によってリスティング広告の担当者の負担が増加したり、結果として最適化がなかなか進まないという声をよく聞きます。

しかしながら、上述の(2)と(3)については自動化のメリットを享受しやすい分野であり、投資のスケールメリットや運用の惰性も(いい意味で)利きやすい部分です。現時点では、全体設計とシステム構築を早い段階で進めた企業が、結果的にGoogleの検索結果の画面上で勝ちやすくなるという構図ができてきているように思います。

広告以上に頭を悩ませるのがフィード構築の部分ですが、ここ1年ほどでプロダクトフィードの構築支援システムが各社から相次いでリリースされてきています。以前からある「DF PLUS」のような中間支援サービスだけでなく、Eコマースの決済系の企業や、ショッピングカート、ホスティングサービスなどの企業が続々と参入を表明してきており、企業内の商品データベースがしっかりしていれば導入のハードルは随分と下がってきたと言えるかもしれません。

さて、前置きが長くなりましたが、以降は、上述の(1)(2)(3)の分類に沿うかたちで、それぞれの最適化の要点について考えていきたいと思います。



(1)広告側でのキャンペーン構築、分析や入札などの運用

PLAは、通常のAdWordsの検索連動型広告と同様にユーザーの検索クエリに連動して表示されますが、どういった検索クエリに反応するかは、マーチャントセンター内の情報で決められます。併せて、広告として表示されるタイトルや画像もマーチャントセンター側で管理されるため、広告側で行える作業は通常のAdWordsと比較してそれほど多くありません。

広告側で動かせる部分が少ないということは、マーチャントセンター内のデータを指定するための「商品ターゲット」の設定や、その商品ターゲットに合わせて後から入札や分析が可能になるような広告グループの設計がより重要になるということです。


商品ターゲットについての考え方
商品ターゲットとは、マーチャントセンター内のどの項目をターゲットとするかをAdWords側で指定するものです。ターゲットには、以下のような分類があります。

id(id): マーチャントセンターに登録されている各商品の識別子
product_type: 商品の分類(カテゴリ)
brand: マーチャントセンターで指定された商品のブランド
condition: 商品の状態。例: new(新品)、used(中古品)、refurbished(再生品)
adwords_grouping: カスタムで定義される商品のグループで、1つの商品につき 1つの値のみ指定可能。例えば季節、メーカー、製造年度、モデルなど、独自に分類したグループに分けられます
adwords_labels: 「adwords_grouping」と同じですが、複数の値を指定できるため、複数の分類でターゲットを絞込むことができます。



商品ターゲットを設定するには、マーチャントセンター内のデータセットがどのような構成なのかを理解した上で、どのような単位で広告グループを分割するのかを考えなければいけません。つまり、「AdWordsのPLA用グループ構成」と「商品ターゲット」と「マーチャントセンター」の3つはそれぞれすべてつながっていますので、広告キャンペーン側で最も時間を割くべきことは、

・運用現場での分析や分析結果を運用にフィードバックできるような構成を
・「マーチャントセンター内」の項目種別と「商品ターゲット」の組み合わせを考慮した上で
・キャンペーンや広告グループの分割や設定を行う


という、全体設計の部分だと言えます。商品カテゴリごと、ブランドごと、個別の商品IDごと、利益率ごとなど、どのように分析し、どのように入札等の運用を行なっていくのかを想像しながら、広告グループを作っていきましょう。

なお、以前にも掲載したこれら3つの関係については、スライドシェアにも上げていますのでご興味があればご覧ください。




PLA用キャンペーンの運用
運用を想像しながらグルーピングを設計していくということは、PLAで実際にどのような運用が発生するのかを知っていた方が有利です。PLAは通常の検索連動型広告と比べて調整する箇所が少ないですが、キャンペーンや広告グループの設計がしっかりしていれば詳細な運用が可能になります。

入札:
PLAの場合AdWords上で分析できる最小単位は基本的に広告グループになりますので、広告グループ(≒商品ターゲット)ごとのデータが入札を判断するためのデータセットになります。

一般に、広告のCPCは通常は期待されるコンバージョン率から算出されるコンバージョン単価(CPA)から導き出されます。期待されるコンバージョン単価は商品の持つ利益率と販売価格によって決まりますので、商品ごとに目安の利益率や利益の絶対額が判断できる場合は、利益率ごとに商品カテゴリを横断して入札する必要がありますので、利益率を「adwords_labels」として設定し、その値ごとに広告グループを分割することで、入札をコントロールできます。

あらかじめマーチャントセンター側でラベルの設定が決められない場合は、AdWords側でラベルを設定して入札を調整することも可能ですが、その場合でも商品ターゲットの粒度でラベルの設定精度が決まりますので、入札を細かく設定する必要があるアカウントの場合は、商品IDごとなど、なるべく細かく設定するとよいかもしれません。

一方で、商品点数が多い場合や、商品の種類や在庫の入れ替えが頻繁に発生するような場合、あまり細かく設定するとマーチャントセンター側の更新のたびに広告側での設定もれが発生しやすいので、個別の入札以外にも [すべての商品]ターゲット(もしくは大雑把な広いターゲット)も合わせて設定し、その入札は細かく設定している個別のターゲットに絞った広告グループよりやや低くすると、設定漏れの回避と入札の管理バランスに無理がなくてよいと思います。


分析:
PLAはマーチャントフィードからデータを取得してオークションに参加するためAdWords側にはキーワードの設定がありませんが、除外キーワードの設定はできます。しかしながら、キーワードの設定がないので実際にはどういったキーワードがトリガーになっていて、どういったキーワードを除外すればいいのかを事前に判断することはどうしても難しくなります。

そのため、検索連動型広告と同じ手順で検索クエリレポートを取得し、PLAのトリガーになった検索クエリを特定することで、除外キーワードの設定が必要かどうかの判断を行います。

<トリガーになった検索クエリの調べ方>
1. PLAのキャンペーンを選択しキーワードタブに移動
2. 「キーワードの詳細」をクリックし、「すべて」を選択


なお、検索クエリレポートを確認することで、除外キーワードだけでなく、マーチャントフィードにどのようなキーワード・キーフレーズを含めればいいかのヒントを得ることができます。

その他にも、広告文として唯一AdWords側でコントロールできるプロモーションメッセージの変更なども、通常の検索連動型広告と同様にテストしてみましょう。


エンハンストキャンペーンの影響:
エンハンストキャンペーンはPLAとも無関係ではありません。PLAがスマホ対応したことによって、PLAの活用シーンが増えたと同時にデバイスごとの調整の必要性が発生しています。

エンハンストキャンペーンはPLAのキャンペーンにも適用されますので、エンハンストキャンペーンの特徴の一つである、地域、デバイス、時間帯ごとの入札調整が可能になります。例えば、マリンスポーツ向け用品を扱うショップであれば沖縄県の入札を他県より高めに設定したり、平日はモバイルのCPCだけを下げ、土日のモバイル利用増に合わせて週末のモバイルの入札比率を引き上げるなどの対策が可能になります。



(2)Googleマーチャントセンター内のデータ整備

マーチャントセンター内のデータには広告のターゲティングの元になる情報やリンク先ページの情報など、PLAの成否のほとんどを握る情報が詰め込まれており、このデータを整備することが成功のカギとなります。

マーチャントフィードの中でも、特に重要だと考えられるのが以下の項目です。

商品カテゴリ[product_type]
商品カテゴリはその商品IDが商品構成ツリーのどこに当てはまるのかを記載するものですが、この項目はターゲティングに関わる重要な項目のひとつですので、慎重な選択が求められます。リスティング広告やSEOのキーワードリサーチと似ているかもしれません。正確に商品のカテゴリを記載するのはもちろんのこと、商品を表す言葉の検索数と競合性を考えながら、適切な言葉を入力することが必要です。

例えば、女性向けのアパレルを扱うEコマースであれば、「レディース ファッション」「レディース アパレル」「女性 ファッション」「女性 アパレル」のどれが検索数が多く競合性が低いのか、AdWordsのキーワードツール等を利用して判断します。



商品名[title]と商品説明[description]
タイトルと商品説明は非常に重要です。まずタイトルですが、これはリスティング広告のタイトル文と同様、PLAでもアンカーテキストとして利用される項目ですので、トリガーとなりうるキーワードを含める必要があります。


上記の例ですと、「半袖 チェックシャツ」という検索クエリに対して、いくつかの広告はテキスト部分が強調表示されています。PLAは検索連動型広告と違い説明文が検索結果に表示されないので、ユーザーが視認できるテキスト情報としてのタイトルの重要性は非常に高くなるため、キーワードを適切に入力することは必須です。

タイトルの文字数は半角で70字ですが、実際には長すぎる部分は表示上カットされてしまうため、なるべく冒頭に重要なキーワードを入力することが大事です。検索数の多い言葉や固定ファンの多いブランドであればブランド名を、ブランドではなく用途や機能が重要であればそれが分かるキーワードを冒頭に記載しましょう。

続いて説明文ですが、これはGoogleショッピングの検索結果には表示されるものの、PLAでは表示されないため、必ずしも冒頭にキーワードを入れる必要はなく、商品の特性を表した適切なキーワード・キーフレーズを入力します。

多くのEコマースサイトでは商品点数が多く、説明文を個別商品ごとにマニュアルで入力していくのは正直無理があります。マーチャントフィードの作り方にもよりますが、通常は商品データベースやウェブサイトの商品説明から引っ張ってくるケースが多いと思いますので、普段から検索数やユーザーの求める情報を適切に表現したライティングを心がけていくことが結果的にPLAの最適化にもつながります。SEOでも同様ですね。


商品リンク[link]と商品画像リンク[image_link]
画像はタイトルと並んでPLAにおける最重要項目です。検索クエリと正確にマッチングする画像を指定するのはもちろんのこと、特にモバイル対応になってからは画像がこれまで以上に重要視されてきますので、小さな画面でも判別できるように、余白の少ない、少しでも商品のイメージが分かりやすい画像を指定することが求められます。

また、画像のインパクトだけでなく、リンク先URLとの整合性も重要です。PLAは検索結果に画像が出るため、ユーザーはリンク先のページのイメージを既にある程度持っている状態でクリックしますので、Eコマースサイトの当該URLで使われている画像とPLAでの商品画像が違ってしまうと、著しく直帰率が上がってしまいます。

2013年3月の仕様変更によって、アパレルの場合だとマーチャントフィードへ色の指定なども必要になってきますが、Eコマースの受けページ側では画像は選択式になっていてユニークのURLを持っていないケースも多いので、同じ商品ラインなのだけどPLAとランディングページで商品の色やサイズが違う、ということが発生します。ウェブサイトの構成によっては、URLの吐き出し方も併せて見直すことを視野にいれる必要があるかもしれません。


在庫状況[availability]と価格[price]
在庫状況や価格をリンク先のウェブサイトと同期させておくのは非常に大事です。PLAに記載してある価格とリンク先のサイトに記載の価格が違っていたり、在庫切れ商品が多かったりすると、直帰率やコンバージョン率などの指標以前に大幅にユーザーエクスペリエンスを損なうことになります。

そういった事態を避けるためには、自社の商品データベースの更新とマーチャントフィードの更新を同期することが必要です。もし一日に何度も商品の更新があるような場合はContent API for Shoppingの仕様に目を通し、自動化システムの構築や、次の段落で触れるデータフィード最適化ソリューションを採用することも視野に入れるとよいかもしれません。



(3)商品データベースと、そのフィード構築の整備

PLAの成功のカギとなるマーチャントフィードは、その元になる企業の商品データベースと、マーチャントセンター用のフィード構築がなければ絵に描いた餅になってしまいます。その場限りのチューニングはできても、自動化をしない限りは、継続性と信頼性を担保するのは難しくなります。

Eコマースの多くは商品の種類が多岐に渡り、日々在庫の数や価格、新商品の追加などの変動が行われています。また、商品データベースの更新だけでなく、それを外部システムであるマーチャントセンター用に整形しリアルタイムに更新していくのは手作業では正直のところ無理があると言わざるを得ません。

また、外部システムはマーチャントセンター以外にも多くのショッピングサイトや比較サイト、検索エンジンなど多種多様にわたり、今後も増えていきます。以下はアメリカで一般的なデータフィードサービスが対応しているショッピングサイトの一覧ですが、これにアフィリエイトなども加えていくと、手動で管理するのが厳しいことがわかります。



そのためここ数年は、中間処理を行うシステムの構築や、自動的に各外部システムに対応したフィードを管理する中間処理サービスのニーズが急速に高まっています。




この中間処理サービスはデータフィード最適化ソリューションとも言われ、海外では Edgenet、GoDataFeed などのような専門業者のほか、Magento のようなショッピングカートベンダー、iProspect や Performics のような代理店など、さまざまなプレイヤーが参入してきています。

PLAだけであればまだしも、他のショッピングエンジンにも対応するとなると自前で構築するのが難しいので、こういったサービスを利用するのも検討すべきかもしれません。




日本でも、フィードフォースやTAGGY、コマースリンクのようなフィード最適化サービスだけでなく、GMOペイメントゲートウェイのような決済系サービスがPLAの運用代行サービスを発表したり、ウェブホスティングのEストアーが「ショッピングフィード・マーケットプレイス」をリリース(PDF)するなど、にわかに盛り上がりを見せています。






商品リスト広告(PLA)のこれから

PLAにはデータフィードの概念が必須ですが、データフィードという以前からある枯れた概念が近年注目を浴びているのは、リターゲティング広告の急速な普及が追い風になっている側面があると思います。

数あるリターゲティング広告の中でも、ここ最近で最もブレイクを果たした Criteo は、Eコマース企業を中心にサイト内の商品閲覧履歴や興味関心をもとに分割されたユーザーリストに対してパーソナライズされた広告(いわゆるレコメンドバナー)をリターゲティングで表示させることによってROIをさらに引き上げる手法をとっています。

現在(2013年5月時点)ではまだ一部の広告主だけの限定版ですが、AdWords でも同様の手法をPLAを利用して実現する手法があります。Dynamic Display Ads(動的ディスプレイ広告)です。

Google のリターゲティング広告であるリマーケティングとGoogleのマーチャントセンターのフィードを連携させて、サイト内のリターゲティングタグに個別の商品IDを紐付けることによってGDN上にPLAと同様のレコメンドバナーを実装するサービスです。

ベータ版なので情報が非常に少ないのですが、WordStream のブログで詳しい解説がありましたので、関係する部分のみ抄訳します。


Dynamic Remarketing Ads: The Future of Google Remarketing | WordStream
http://www.wordstream.com/blog/ws/2013/04/01/dynamic-remarketing
(ダイナミックリマーケティング:リマーケティングの未来)

You will be required to set up a customized Remarketing Tag on your site that will pull down Product Identification numbers from your merchant feed and pass them on to Google. Google will then match these Product IDs to your Google Merchant Center feed and use those characteristics to power your ‘Dynamic Ads.’
ダイナミックリマーケティングを始めるには、マーチャントフィードの商品IDを抽出してGoogleへ受け渡せるようにリマーケティングタグのカスタマイズが必要です。Googleはその商品IDとマーチャントセンター内の情報をマッチングさせてダイナミックリマーケティングを実現します。

After assigning the appropriate audiences to each ad group, you’ll need to set up your ads. This is the cool part. The ‘Display ad builder’ will soon have a dynamic ad option as seen below, with each banner size offering over 15 dynamic ads formats to choose from.
適切なオーディエンスグループを広告グループにセットしたら、次に広告を作成します。ここがダイナミックリマーケティングがイケてるところです。"ディスプレイ広告ビルダー" に動的広告オプションが以下のように現れ、15種類ほどのダイナミックリマーケティング広告のフォーマットが選べるようになります。


In the ad seen here, your potential customer would have likely viewed these products, and is now being served the same product again, or a different style. They can then click on that specific product within the ad and be will be directed to that specific product page.
このように、見込み顧客は来訪履歴をもとにした商品を広告に見ることになります。広告内の個別の商品をクリックすれば、個別の商品ページに飛ぶことになります。





このように、PLAはまだ本格化して間もないにも関わらず急速に発展を遂げ、仕様変更等のスピードも早いことから今後も進化を続けていくと考えられます。

純粋なリスティング広告と比べるととっつきにくさがあるのは否めませんし、考慮すべき範囲が多く腰が重くなりがちなのは仕方がないですが、ボリュームやスケールメリットが最初は出にくいということはあっても、検索連動型広告のように変な設定でボリュームが出すぎてしまって予算を一瞬で使い切ってしまった、というような事故は少ないタイプの広告です。費用対効果も比較的計算しやすいため、ショップのサイズに関わらずトライして損はないでしょう。

今後も、PLA関連の話題は随時ウォッチしながら、折を見て紹介していきたいと思います!

State of AdOps #6:女性が、長く安心して働ける業界に − セプテーニ 田原晴加氏

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「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

第6回は、社是「ひねらんかい」が有名な大手インターネット広告代理店である株式会社セプテーニのプロダクト本部SEM部でご活躍されている、シニアSEMコンサルタントの田原晴加さんに運用広告の現在についてお伺いしました。



# インタビューは 2013年4月某日に行われました。


自動入札ツール担当からコンサルタントへ

現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

セプテーニに2009年に新卒で入社して、現在は5年目になります。入社当初からリスティング広告を担当する部署ではありましたが、お客さまに直接伺う営業やコンサルタントではなく、システム・ツール周りを担当する部署がキャリアのスタートです。ツールというのは自動入札ツールのことを指しますが、当時は海外製が主流で代表的なツールの一つを担当していました。

1年ほどツール周りを担当した後、現在の仕事であるコンサルタント業務に携わっています。リスティング広告では運用からキャリアをスタートすることが多いと思いますが、ツールやシステム担当を経てコンサルタントになるのは珍しいケースかなと思います。


ツール側から見たリスティング広告は、最初どのように映ったのでしょうか?

当時は自動入札ツールがずいぶんと注目されていた時期でしたが、現在も続いている、Yahoo!リスティング広告(現在のYahoo!プロモーション広告)や Google のAdWords広告など、複数のプラットフォームをひとつのシステムで統合管理するというトレンドを入社してすぐに知ることができたことは、今から思えば幸運でした。

ツールを知る上では海外、特にアメリカが先行していましたから、日本だけでない視点を早くから獲得できたのは大きかったです。


自動入札ツールの導入が大変だったとお察しします。ご苦労された点などはありますか?

まずは新卒で何も知らないところからスタートでしたので、自動入札ツールに何ができるのか、どういったところがメリットなのかを知るところから始めました。ただし、実際に運用をしていなかったので、運用側がツール導入にあたって何が必要なのかを頭では理解していても体感として理解しておらず、社内やお客さまと意見がぶつかることも多くありました。

例えば、既に稼働しているアカウントに自動入札ツールを導入するには、トラッキングURLをツール側で発行してから各アカウントへ再入稿が必要になりますが、その一連の作業で運用側にどれだけの負担が発生するのか、広告の審査や配信でどのようなことに気をつけなければいけないのかといった基本的な部分への配慮が足らなかったと思います。

また、弊社ではもともときめ細かく運用し最適化を追及していくことで、お客さまの望む結果を出しており、そこに自信を持っているコンサルタントばかりなので、自動入札というシステムや投資対効果に社内でも異論があったことも背景としてあるかもしれません。振り返ってみて、広告運用を知らずに自動入札ツールを提案するという、今から考えればかなり難しいことをしようとしていたなと思います。


ご苦労があった一方で、学んだことはありましたでしょうか?

自動入札ツールを提案するには、技術的な側面を理解する必要があります。APIやデータフィードの概念もその時に初めて知りました。これは今の仕事でも役立っています。

あとは、今でもそうですが、リスティング広告の運用は本当に大変ですので、入社から1年間はツール担当という一歩離れた視点から運用の現場を眺め、その後実際にコンサルタントとして現場へ入るというステップがあったことは、リスティング広告の業務全体を理解する上でとてもスムーズでした。

人にもよりますが、何も分からない状態でお客さまの前にいきなり立つのは正直なところ厳しいと思います。プラットフォームやお客さまのことはもちろんのこと、広告やインターネット業界、エクセルやパワーポイント、メールの書き方に至るまで、新人がキャッチアップしなければいけないことは山ほどありますし、毎月のように新しいことが起こります。実際に、私がリスティング広告を始めたときよりも現在の方が学ぶ必要がある範囲が広くなっています。

1年間とはいえ、リスティング広告の業務がどのように回っているのか、どこが大変で、何がボトルネックで、何がレバレッジポイントなのか。そういったリスティング広告の現場のメカニズムを知った上で業務に入れたのは私にとっては非常によかったと思っています。



「いろいろと厳しいことも言ったけど、信頼していました。」

現在はSEMコンサルタントとしてのお仕事をされていますが、この仕事のどこに醍醐味を感じていらっしゃいますか?

月並みですが、直接お客さまとやりとりできること、お客さまに感謝されることが一番の醍醐味です。先日、長く担当させて頂いたあるお客さまの担当を外れる時に、「いろいろと厳しいことも言ったけど、運用面は信頼していました。今までありがとう。」と仰って頂けたときは嬉しかったですね。非常に厳しいお客さまだったので、余計に嬉しかったです。

ツールを担当していた頃に「ツールを導入したのに提案されたとおりの動きにならない」というクレームを頂いたことがあり、当時は「私はやれることはすべてやっているのに」と思って憤慨したこともありました。

コンサルタントになった今から思うと、あの頃はどこか他人ごとというか、お客さまの顔も知らずに仕事をしていたなと思います。テクノロジーは進化しているかもしれませんが、実際にはビジネスは人と人との関係でできていると実感しています。


お客さまに感謝された具体的なエピソードがあれば教えて下さい。

先ほどお話した厳しかったお客さまですが、私がツール担当から異動してコンサルタントになった当初は、PCとモバイルで先方の管轄部署が分かれており、私はフィーチャーフォンを担当していました。私が担当になった頃は、スマートフォンが大々的に喧伝されはじめた頃で、少しずつフィーチャーフォンのシェアは下がり始めていて、プラットフォーム側からのアップデートもほぼなくなってきている状況でしたが、お客さまの事情でフィーチャーフォン用にご用意して頂いているご予算をかんたんにはスマートフォンへ寄せることができませんでした。

私の前の担当は「フィーチャーフォンでできることはぜんぶやった」と言っていて、私も引き継いだアカウントを見て、実際にそう思っていました。引き継いだあとになかなか提案を出せないでいると、お客さまから怒られました。時には「もう出て行け」と言われたり(笑)。

そこで、営業担当者と相談してやれることをもう一度洗い出して、とにかく毎週提案を持っていきました。出した提案に対して、毎週のように検証結果も持っていきました。今度こそ本当に「フィーチャーフォンでできることはぜんぶやった」状態ですね。例えばコンテンツターゲットのキーワードターゲットでドメイン名のテーマを作ったり、モバイルバナーの制作、トピックターゲットやインタレストカテゴリ、電話番号表示オプション、その他いろいろ、AdWordsのメニューでできることはぜんぶやったと思います。その結果、フィーチャーフォンのシェアが急激に落ちていく中で、かなりの結果を出すことができました。



女性のコンサルタントを増やしたい。

逆に、広告運用の仕事で課題があるとすればどんなところだと思いますか?

運用の実務には直接関係がないことかもしれませんが、企業の女性のコンサルタントの活用に課題があるのではないかと思っています。他の広告代理店さんは、女性のコンサルタントってどれくらいいらっしゃるんでしょうか? 私の見ている範囲、つまりSEMの分野では、女性のコンサルタントは少ないように思います。

広告やネットの業界は一般的に決して女性比率は低くないと思います。弊社でも、SEMには入札・入稿・レポーティングなどを行うオペレーションと、対クライアントに提案を行うコンサルティングという2つのラインがありますが、オペレーションの部門は女性が圧倒的に多いです。でも、コンサルタントになると女性比率が高いとは言えません。

丁寧な運用やコミュニケーションという部分では、男性に比べて女性の方が細やかな対応が得意な人が多いのではと個人的に思っています。オペレーターに女性が多いのはそういう事情もあるかもしれません。あ、男性がガサツだというわけじゃないですよ(笑)。

例えばエステやコスメティクスなど、女性目線で語れる女性コンサルタントが担当させて頂いた方が良いお客さまもいらっしゃいます。ある化粧品通販のお客さまでは、女性コンサルタントをご要望頂きましたが、すぐにアサインできなかったこともありました。


女性のコンサルタントが増えない理由は何だと思いますか?

女性にとっては直面するライフイベント(結婚、出産、育児など)による時間の制約が出てくる中で、「同じ働き方」で「同じ仕事」をするのは難しい部分はあるかもしれません。



働き方の多様性と、チームで働くということ。

女性のコンサルタントが働き続けられるには、どうしたらいいと思いますか?

多様な働き方や役割が認められるように変わっていけばいいと思います。この業界に限らないかもしれませんが。

運用型広告では深く潜れば潜るほど詳細な分析と丁寧な運用が価値になっていくので、オペレーションが単なるコンサルタントの業務請負では成り立ちません。チームとしてそれぞれの強みを生かしながらPDCAを回していくことが重要になります。お客さまのアカウントを実際に預かって運用しているオペレーターが、コンサルタントの役割に近づいていくイメージです。コンサルタントかオペレーターかではっきり分けてしまうのではなく、それぞれの得意分野を相互に補完して、チームとしてフォローし合いながら仕事を進めていけるような働き方が重要ですね。

この形を推進するため、宮崎県にあるグループ会社のMANGO(株)というリスティング広告のオペレーション業務を請け負うニアショア拠点と、東京のオペレーション部隊との連携強化を進めています。定型化した業務をアウトソースすることで東京のオペレーションの役割をよりコンサルタントに寄り添う形にシフトさせるためです。

また、コンサルタントとオペレーションの中間に位置するような職掌があってもいいのではないかなと思っています。これは一定以上のコンサルティング経験とオペレーション経験がないと上手く機能しないので経験を積んできた女性コンサルタント・オペレーターが活躍できる職掌ではないでしょうか。

女性の働き方を考えるのは、私個人だけでなく、会社としても取組んでいます。今年も女性の新卒がコンサルタントとして配属されました。その子たちにとっても、キャリアを積める環境を今以上に整備していきたいですし、私自身、先輩として憧れられるような働き方をしたいと思っています。


素晴らしいですね。もし最後にこれは言っておきたいということがあればぜひ。

女性である自分が直面している現実と向き合って来なかった部分と、自分なりに一生懸命頑張ってきたからこそ見えてきたものがあって、率先して新しい働き方を提案したい!という目標を年初に立てていました。同じような思いを持っている方がいらっしゃれば、ぜひお声をお掛けください!



株式会社セプテーニ
http://www.septeni.co.jp/

YouTubeの急成長は、モバイルが牽引する

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モバイルが追い風になる動画視聴

動画サイトの雄である YouTube の次の成長を牽引するのはモバイルだと言われています。

YouTube のモバイル経由の広告売上は2012年後半から急増しており、2012年10月から2013年3月までの半年間の売上は、それ以前と比較して約3倍に成長しているようです。


YouTube Mobile Ad Sales Triple Over 6 Months | Adweek
(YouTubeのモバイル広告売上は半年間で3倍へ)

"YouTube tripled ad sales on mobile devices in the past six months, generating an estimated $350 million in the last quarter alone"
"YouTube はモバイルでの広告売上が過去6ヶ月で3倍になり、その売上は前四半期(2013年1-3月)だけで3億5,000万ドルに達した模様"

毎年のように年頭にはその時々のトレンドによって「今年は◯◯の年」と言われますが、2013年がもうすぐ折り返し地点に着こうとする2013年6月時点では、「動画」がこの空欄◯◯に埋めるにふさわしい言葉の一つではないでしょうか。ここ数年はスマートフォンの台頭によって世界的にモバイルの普及が加速しており、その勢いが動画の伸長に追い風になっているといると言えそうです。

事実、BI Intelligence のレポートによると、モバイルやタブレットデバイスでの動画視聴は毎月増加しています。特に、動画視聴はタブレットの利用シーンのトップにきていることもあり、PC以外での動画視聴の伸びはモバイルデバイスの出荷台数の伸びとある程度相関関係にあると言えるかもしれません。



2012年2月にGartnerが発表したモバイル動画の国別視聴予測データでは、アジアや南米のユーザーを中心にモバイルでの動画視聴ユーザーが大幅に伸びることが予想されています。人口が多い地域へモバイルデバイスが行き渡り、ネットワーク環境の整備に伴って動画視聴が拡大していくということでしょうか。2012年から2016年で約3倍のユーザー数になるというアグレッシブな予想からも、成長のスピードが驚くほど早いことが伺えます。



そして、こういった動画視聴の伸びをもっとも享受しているのはやはり圧倒的なシェアを誇る YouTube です。

Google は2006年の買収以来 YouTube のマネタイズに頭を悩ませてきましたが、半年間で3倍成長という、YouTubeモバイル広告の急伸によって、ここ最近の Google 全体の売上に対する YouTube の貢献度が目に見えて上昇していることが伺えます。


Apple の Google 離れによる嬉しい誤算影響(※1)

なぜここにきて YouTube のモバイル広告は急激に伸びたのでしょうか。昨年の夏に「パチンコガンダム駅」で話題になった iOS6 の独自路線化ですが、iOS6 では話題になった地図アプリだけでなく、システム標準アプリから YouTube も削除されています。これが YouTube がモバイル経由の売上増加のもっとも大きな要因だったという見方があります。

英 Guardian 紙によると、YouTube のモバイル広告売上がこの半年間で3倍に伸びた理由として、YouTube がシステム標準アプリだった iOS6 以前は、Apple側との取り決めによって YouTube は広告を出すことができなかったものの、標準アプリから外れたかわりに独立したアプリとして2012年の9月にリリースしたGoogle 純製 YouTube アプリでは広告を出すことが可能になったため、iPhone や iPad からのトラフィックを広告でマネタイズできるようになったと伝えています。

YouTube's mobile advertising takes off | Technology | guardian.co.uk
(YouTubeのモバイル広告が離陸)


タブレットデバイスの利用のうち動画視聴が最上位にあるという事実からしても、この変化は強烈だったと考えられます。2013年5月に発表した App Store のランキングでは、発表から8ヶ月しか経っていない YouTube が北米の無料アプリの中で全期間総合4位になっていることからも、Guardian の予測が間違いでないことを示唆しています。(ちなみに日本だと3位)



YouTube ユーザーの4分の1はモバイル

YouTube は単体での具体的な数値を明らかにしていませんが、Wedge Partners のアナリスト Martin Pyykkonen氏(マーチン・パイコネン氏)は、2013年第一四半期(1−3月)でYouTube のモバイル売上は3億5,000万ドル(約350億円)くらいではないかと予想しています。

算出の根拠としては、YouTube の Google 全体における売上比率は約10%で、Google の前四半期の売上は約140億ドル(約1兆4,000億円)ですので、YouTube 経由の売上は約14億ドル(約1,400億円)、さらに、Googleユーザー約10億人のうち約4分の1にあたる2億5,000万ユーザーがモバイル経由だというデータから、YouTube においても売上のうち20%〜25%はモバイルが担っているという計算(=280億円〜350億円)ということのようです。


YouTube は2兆円ビジネスへ?

2006年の Google による YouTube 買収額は16億5,000万ドル(約1,650億円)でした。当時は「高すぎる買い物」という批判が多かったことは記憶に新しいでしょう。

事実、こういった記事も残っています。

Schmidt: We paid $1 billion premium for YouTube | Media Maverick - CNET News
(エリック・シュミット:我々はYouTubeへ10億ドルを上乗せて支払った)


"Since 2006, many observers have scratched their head over what prompted Google to pay $1.65 billion for the video site YouTube."
"2006年の買収以降、Google が YouTube という動画サイトへ16億5000万ドルも支払った狙いは何なのか、識者の多くが頭を悩ませてきました。"
"Although YouTube made little revenue, the all-stock transaction gave Google control of a company many believed would change the face of mass entertainment. It also led to criticism from skeptics who thought that Google would never get its money back."
"YouTube はわずかな売上しかなかったが、全株式交換により Google の支配下に置かれることで、エンターテインメントのあり方も変わるだろうと多くの人たちは考えていました。一方で、懐疑的な人々からは、Google は決して買収金額を回収することはできないだろうという批判もありました。"

現在では、YouTubeの売上は四半期で約14億ドル(約1,400億円)と試算されていますので、おそらく2013年は60億ドル(約6,000億円)は超えてくるだろうと考えられます。売上だけでも、当時高いと言われていた買収金額を大幅に超えています。

YouTube のセールス担当VPである Lucas Watson 氏は、先日(2013年6月)のBloomberg のインタビューで「広告ビジネス、特にTrueViewのようなコマーシャルビジネスは広がっており、向かうべき方向である 」と答えています。また、モルガン・スタンレーは2013年の5月に「YouTube は2020年までには200億ドル(約2兆円)規模のビジネスに成長するだろう」という予測を出しており、今後もますます伸びていくことが予想されます。

モバイルデバイスの追い風によって、今では買収金額の元が取れているどころか、YouTube が Google の成長戦略の重大な柱の一つを担っていると言えるでしょう。


動画をモバイルでも視聴してもらうために

こういった動画視聴の伸びを活かすために、マーケターはただ動画を YouTube にアップロードするだけでなく、いろいろと工夫をしていかなければなりません。

本ブログでは、以前に「動画広告とYouTubeの活用法をおさらいしてみる」という記事で YouTube 動画のTipsについて触れていますが、似たような記事が ClickZ にも載っていましたのでご紹介します。

Optimizing Videos for YouTube Search | ClickZ
(YouTube上での検索のために動画を最適化する)


この記事では、動画のメタデータや動画自体の品質を上げるための細かな最適化の手法が記載されていますが、そういった細かい施策を考える前に、以下の3つのステップが大事だと伝えています。

1. 感情に訴えるような動画を作成すること:高品質の動画コンテンツは視聴者がシェアやコメントをしたくなり、そのシェア一つ一つが口コミの原動力となって多くの人の目に触れることができます。動画という資産がウェブ上に拡散していけばいくほど、多くのリンクを獲得するだけでなく、YouTube上でのポピュラリティを獲得することになり、ユニバーサルサーチやYouTube上での検索結果に好影響を与えることになるでしょう。併せて、高品質の動画を定期的にアップロードしていくことによって、ブランドチャンネルの価値は高まり、フォロワーやコメントの増加など、ブランドロイヤリティの醸成にも寄与します。

2. 動画を作る前に、現在の動画資産の分析すること:ソーシャル上で口コミで広がっていくタイプの動画なのか、検索経由などでじわじわアクセスを稼ぐタイプの動画なのか、YouTube Analytics などを駆使して分析してみましょう。

3. キーフレーズとオーディエンスの調査をすること:どういった言葉で検索されるのか、どういった情報を求めているのか、動画作成の王道のTipsは何かなど、多くのソースや分析ツールがありますので、それらを使って調査をしてみましょう。
(注:YouTubeのキーワードツールについては、 「YouTubeのプロモート動画をはじめる際のキーワードの見つけ方」という記事でも触れていますのでご参考下さい)


「Content is king」と、検索マーケティングではよく言われます。動画の内容や品質が悪いとバズが起こったり自然増殖する可能性は低いので、「1. 感情に訴えるような動画を作成すること」のように動画自体の品質を高めていく努力は当たり前のことですが、バズが起こったとしてもその波は一瞬ですので、いかに息の長いコンテンツとして資産価値を保つことができるかは、コンテンツの内容だけでなく、メタデータのような Findability を高める情報や、それを次のアクションに繋げていくトラッキングやアノテーションなどの仕掛けといった、動画に付随する環境の最適化が求められるのではないでしょうか。

そして、いかに探してもらいやすくするかは、2. や 3. で指摘されているような、視聴者やキーワード(ユーザーの求めている情報)の分析・調査が欠かせません。適切なキーワード選定によるYouTube内SEOという狭い話だけでなく、視聴者が求めている情報を(事前に)適切に表現することによって、動画をしっかり観てもらうという本来の目的に繋がっていきますので、こういった指摘は的を得ているように思います。

モバイルやタブレットなど、視聴されるデバイスが増え、そのデバイスのシェアが増えていくことによって、動画を活用したマーケティングの細かな努力の積み重ねが、ユーザーの視聴可能性からブランド・ロイヤリティの醸成まで、時間をかけて大きな違いになっていくでしょう。

YouTube のみならず、動画の市場は様々なプレイヤーが進出してきていますが、どのプレイヤーにとってもモバイルは大きなキーになっていくと考えられます。動画とデバイスの関係に注目しながら、様々な視点で動画を利用したマーケティング手法を引き続きウォッチしていきたいと思います!

 

※1) 「嬉しい誤算」ではないのではないか、というご指摘を元なかの人から頂いたので訂正しました!
 

Google卒業生が解説するアドワーズの品質スコアのすべて

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ブラックボックスな品質スコア

2005年に、それまでのキーワードステータスから品質スコアのシステムへ変更されて以降、品質スコアはAdWordsを語る上で(良くも悪くも)常に主役にいたように思います。


2009年に Google のチーフエコノミストであるHal Varian 氏が 品質スコアについて解説をしたことで、様々な俗説は一旦落ち着いたように思われましたが、先日(2013年7月末)に発表された品質スコアの表示変更でも、「品質スコアが変わった!」という問い合わせが多かったのか、ブログで再度説明がされるなど、リスティング広告に関わる人にとって、品質スコアは今でも最も敏感になるトピックの一つのようです。


Hal Varian氏の 品質スコアについての解説動画


Google卒業生が解説する品質スコア

品質スコアについて気になるのは日本だけではなく、アメリカでも同様です。

先月(2013年7月)、元Googler の Frederick Vallaeys氏が Search Engine Land に投稿した品質スコアを詳細に解説した記事は大きな注目を集めました。品質スコアが導入された背景から実際の最適化のヒントまで丁寧に語られており日本のリスティング従事者にも有益な記事でしたので、著者である Frederick と Search Engine Land の了承を得て、翻訳版を掲載します。


元記事:
Quality Score Explained By A Former Googler
http://searchengineland.com/quality-score-explained-by-a-former-googler-166007


※ 以下はSearch Engine Land の承諾を得て上記の記事を日本語に翻訳したものです。
※ Following is reprinted with permission of Search Engine Land.


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品質スコアの進化

品質スコアの歴史について興味がない人でも、品質スコアがそもそもなぜ存在するのかや、Google が何に注目しているかには関心を持っていると思います。

私が Google で働き始めた2002年頃は、品質スコアはまだ存在していませんでした。しかし、当時の Google が他のリスティング広告システムと比べて際立っていた理由は、広告を見るに値するかを判断する手法にありました。審査チームがすべての広告をマニュアルで確認していた上、システムがキーワードのクリック率 (CTR) をすべてのキーワードにおいて監視していました。CTR が0.5%を下回った場合は、そのキーワードは関連性が低いと見なされ無効にされていました。Google は"集団の叡智"を利用してユーザーにどの広告を見せるか判断させていたのです。

一方で、広告主が自身の設定したキーワードが無効にされてしまうことに不満を抱いていたので、一定の CTR を基準にキーワードを無効にするという仕組みは問題を抱えていました (もちろん、同じキーワードを大文字にした上で再登録することにより回避するという裏ワザを知っていたら話は別でしたが) 。ですので、我々はシステムを進化させることにしました。キーワードを無効にする代わりに “slowed”、 “in trial” 、そして “on hold” といったような新しいステータスを考案したのです。

これは、質が悪いとされる広告の掲載期間を少しだけ設けることで、広告主に関連性の低いキーワードを修正をする機会を与えることが目的でした。さらに、0.5%の CTR という基準を撤廃し、システムの柔軟性を高めました。しかし、それでも広告主が本当に使いたいキーワードは無効になってしまうことがあり、彼らを満足させることはなかなか難しい状況が続きました。

Google はこの問題を解決すべく、最小入札単価を導入しました。単純にキーワードを無効にする代わりに、関連性の低いキーワードに対して高い単価を支払うよう広告主に要求したのです。これにより、広告主はキーワードのクリック単価 (CPC) に対して高い単価を支払う意味がなくなり、関連性を高めるために最適化するかキーワードを削除するかを選ぶようになったのです。

現在のシステムでは、最小入札単価は First Page Bid と一体化されています。広告主が支払う価格と品質スコアの直接の関係を把握するのが少し難しくなっていますが、その関係は確かに存在します。

下記は品質スコアトラッキングツールを使い、平均CPCと品質スコアがどう関係しているかを示した例です。この関係性は、品質スコアが CPC に与える影響について書いた最近の記事でも取り上げています。

品質スコアが上がるにつれて、キャンペーンの平均CPCは下がるという図


品質スコアが広告ランクに与える影響

Google が AdWords Select を開始して、CPM基準の料金体系からCPC基準の料金体系に移り始めた頃はCPMプログラム (当時はこれが AdWords と呼ばれていました) の売上げなしにやっていくほどの余裕はありませんでした。当時 Google は小さな会社であり、Yahoo!/Overture は非常に手強い競合でした。そこで、売上の最大化を実現するため、次の簡単な式をもとにCPCプログラムの広告をランク付けしました。

広告ランク = 上限CPC × CTR

これに少し注目してみると、広告ランクはCPM、つまりインプレッション単価であることがすぐにわかります。この式は単純ですが、AdWords というプログラムに力を与える素晴らしい考え方だったのです。広告主は広告がクリックされた時だけに支払いをし、CTRの高い広告が検索結果の上位に来るようになったため、ユーザーにはより関連性の高い広告が表示されるようになりました。結果として、Google はこれらの広告により最大限の収益を上げたのです。

現在では広告ランクの式は非常に複雑になっていて、ページのトップに表示されるための閾値やランディングページの要素なども考慮されています。しかし、本質的には上述の原理が適用されます。Google がより関連性の高い広告を表示すれば、広告主は多くのクリックを得ることができ、ユーザーを満足させ、収益を上げることができます。これを達成するために重要となる要素が CTR なのです。

品質スコアにとって CTR が重要であることは、SEO にとってTF-IDFが重要であることに少し似ています。有料、無料に限らず検索のランキングは無数の要素によって定められていますが、これらの長年存在してきた原理はいまだに重要度が高いのです。80対20の法則で言うとこれが80%の要素であり、最初に注目するべきものです。


品質スコアの要素

CTR が品質スコアの主な判断材料となっていることを説明しましたが、Google が CTR についてどう考えているかを知っておくのも大事です。自分のアカウントで確認できる CTR に影響するものは、デバイス、ネットワーク、またはページ上での広告の位置など、様々です。ということは、自分のアカウントで確認できる平均CTRは、Google が品質スコアを設定するために使う CTR とは別物なのです。

広告主にとって公平な場を提供するため、Google は CTR をさらに細かく分類して評価しています。

例えば、CTR をデバイスの種類によって分けて確認し、モバイルの実績が PC の実績の妨げにならないようにしています。また、ディスプレイネットワークと検索の CTR を分けています。通常はディスプレイの CTR の方が極めて低いので、それによって検索における品質スコアが影響されないようにするためです。

また、Google はアカウント内にあるキーワードが検索クエリと一致した場合、CTR を優先して見るようにしています (これをキーワードマッチタイプの「完全一致」と間違えないよう気をつけて下さい) 。また、ページ上の広告数や広告の位置をもとに CTR を正規化しています。

Google は新しいアカウント、新しいキーワード、そして新しい広告に至っては、CTR のデータ量が統計的に有意になるまで推測しながら動き、下記の図が示すようにCTRを段階分けしています。

GoogleがCTRを評価し品質スコアを判断するためには様々な段階が存在する

見ての通り、CTR の評価はアカウント、キーワード、そして広告の3段階に分かれています。これらの要素がすべて秘密の式に組み込まれ、キーワードレベルの品質スコアとそれをアカウント内で表す1から10までの数字が求められるのです。


新しいキーワードの品質スコアがどう設定されているか

キーワードがアカウントで新しく追加された際、そのキーワードと広告テキスト (上の図の3) は過去の実績がないので、品質スコアは主にそのキーワードを設定している全てのアカウント、つまりシステム全体のデータが基準となります。それが、特定のアカウントにおける過去の広告実績データと融合されます。これらの要素の品質スコアが良ければ、新しいキーワードの品質スコアも初めから良い数字である可能性が高いのです。

仮に、ユーザーが2つアカウントを持っていたとすると、アカウントレベルの品質スコアが高い方は最低入札価格が低く表示されるはずです。ドメインを2つ所有していれば、品質スコアが高い方のドメインを使うと同じ結果になるはずです。

キーワードごとの広告の実績などといった詳細なデータをシステムが取得した後は、この情報をもとに品質スコアが定められるようになります。これが、優れたアカウント構成と、広告グループを関連性の高いキーワード同士で分けて効果のある広告テキストを作れるようにすることが重要な理由です。


他に関係する要素

Google のチーフエコノミストを務める Hal Varian氏によれば、品質スコアはCTR の他に「関連性」を考慮すると言います。しかし、それはどういうことでしょうか?これを一番わかりやすく理解する方法は再び CTR を基準に考えることですが、つまりは CTR を使って1から10までの品質スコアを出力する代わりに、ユーザーが検索をした時点でその検索内容と広告の関連性を判断して CTR を予測するということです (Google の品質スコアは CTR を個々の広告とクエリにより予測するシステムです) 。詳しくは以下の例をご覧ください。

1. ユーザーの検索に他の単語も混ざっていたか。そして、それは自分の広告がクリックされる確率を高めるものであるか。例)job (仕事) に関するウェブサイトを持っていて [jobs] というキーワードをもとに広告を出したいのであれば、誰かが “Steve Jobs” と検索してもその広告は恐らく関連性が低い。

2. ユーザーがいる場所は予測CTRと関連性があるか。例)アメリカで事業をしていて、検索者がベルギーにいたとすれば、その人がわざわざ遠くにある事業が出している広告をクリックする確率は低い。

3. 時間や日にちが予測CTRを影響することはあるのか。例)Google は特定の広告が火曜日にクリックされにくいという情報を持っている可能性がある。

このような要素は Google がリアルタイムで品質スコアを割り当てることを可能にし、特定のクエリに対して適切な広告ランクを設定することができます。この他にも「関連している要素」はたくさんあるかもしれませんが、そのすべては Google が特定のクエリに対して持っている情報を使って、広告がクリックされる可能性を予測するという原理に基づいていることは知っておいて下さい。

これらの要素の透明性が低いのはもどかしいかもしれませんが、関連性という部分は広告主に自動的に良いクリックを与え、悪いクリックを排除する手助けをしてきました。


ランディングページの品質スコア

ランディングページは品質スコアを判断する要素としては最も新しいものの1つです。ランディングページの質 (LPQ) はユーザーを騙して広告をクリックさせる悪質なサイトに対応するために導入されました。このようなサイトの CTR は高いですが、ユーザーエクスペリエンスは低いです。今では LPQ で品質スコアを上げることが可能になったため、広告主はこれに一層注目するようになりました (恐らく必要以上に) 。

広告の CTR は品質スコアの要素としては LPQ より重要で、広告主が最適化に努めるべきところです。1つのキーワードにつき1つのランディングページを作り、ページにキーワードを表示させることにより LPQ のスコアを上げようとする広告主がいるという話を時々聞きます。これはおそらくやり過ぎです。Google は言葉の関連性を理解することに長けているので、すべてのパターンをページに含む必要はありません。

私が個人的にお勧めするのは、直帰率と滞在時間に注目することです。これは、Analytics を利用すれば AdWords で直接確認できるようになります。高い直帰率や短い滞在時間は、ユーザーにとって関連性の低いキーワードを探し出す手がかりになります。


アカウントを正しく最適化する

品質スコアの最適化とはつまり CTR の最適化であるということは、もうお気づきかもしれません。問題は、適切な CTR で最適化ができているかどうかです。例えば、Google は特定の CTR がどのように品質スコアを影響するかを判断するのに順位の正規化を行うため、Google のプレミアムポジションに表示されている15%の CTR の広告は、検索結果の右側の最後に位置する3%の CTR の広告より劣っているかもしれません。

さらに、どのキーワードや、どの広告グループが最も最適化を必要としているかを判断するために、インプレッションで重み付けされた品質スコアも確認しておくべきです。AdWords Scripts で計算を自動化するスクリプトをシェアしておきましたので参考にしてみて下さい。

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以上です。いかがだったでしょうか。

私自身も仕事で品質スコアについて触れるときには説明に苦労することが多いですが、個人的に、地味に一番伝えるのが難しいなと思っているキーワードの「マッチタイプ」と、検索クエリとの「キーワードマッチ」の違いが明確に説明されていたので、非常に納得感を持って読めました。

品質スコアがなぜ登場するに至ったかに思いを巡らせると、アカウント設計や最適化を行うための基本的な考え方を改めて確認できると思います。少しでもご参考になれば幸いです!

インフォグラフィックで見るインターネット広告の成長

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インターネット広告の成長は周知の事実ですが、その事実をまとめて表したデータを見つけることは案外難しいものです。

先日、SEOを中心としたデジタルエージェンシーである advice interactive group が、インターネットの成長という観点で、Neilsen や eMarketer などの調査機関のデータをまとめたインフォグラフィックを発表しました。広告費の市場規模からチャネルごとの潜在人口、ソーシャルやモバイルの成長性に言及した、非常に簡潔でわかりやすい資料だったのでご紹介します。

Please include attribution to http://www.adviceinteractivegroup.com/ with this graphic.

Why You Can



インフォグラフィック内の内容はどれも見たことがあるような数値ですが、まとまっているのは非常に有用です。インフォグラフィックの最初にある媒体ごとのシェアでは、北米のインターネット広告は2012年に全体の18%のシェアとなり、2015年には23.4%にまで成長すると試算されています。

日本の2012年が14.7%(電通調べ)だと考えると、単純計算で2017年頃には同様のシェアに達すると予想できます。



また、最後にある「今後の広告費が増加するか/減少するか」という問いには、モバイル、ソーシャル、動画の3つが今後の成長領域とされています。2年前に紹介したインフォグラフィックでもモバイルの勢いは強調されていましたが、YouTubeでもモバイルの動画視聴が伸びており、ソーシャルと並んで、今後楽しみな成長領域です。



ちなみにこの資料は、インフォグラフィックの専門家に頼んだのではなく、advice のインターンである Michelle Do さんが作成したそうです。素晴らしいアウトプットですね!

PLA(商品リスト広告)とPPCはカニバるのか?

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伸び続ける商品リスト広告(PLA)

以前から何度かご紹介していますが、Google の商品リスト広告(PLA)はすごい勢いで伸びています。

ショッピングデータフィードサービスを行う CPC Strategy の調査によると、2013年1−3月期では、Shopping.com や Amazon Product Ads などのショッピング検索エンジンは PLA の約半分ほどのトラフィックを誇っていたものの、2013年4−6月期では、いずれも PLA の3分の1以下にまで落ち込んでいるとのことです。

これは、他が凋落してきたのではなく、PLA の伸びが他を圧倒しているからだと言えます。他の検索エンジンがまったく追いつけないスピードで成長しているようです。

リンク:
Report: Google PLAs Dominate CSE Channel Like Never Before [CPC Strategy]



PPC と PLA はカニバるのか?

これだけ PLA が伸びてくると、検索連動型広告(PPC)とカニバってしまうのでは?という懸念がムクムクと浮かび上がってきます。

PPC でも以前から、常に特定のキーワードでオーガニックが1位のサイトが「PPC で同キーワードに入札する意味はあるのか?(広告を止めたらオーガニック経由のトラフィックが増えるのでは?)」といった、効果のカニバリゼーション(共食い)についてよく議論になったものでした。

PPC とオーガニックの関係は、品質スコアの説明でも有名な Hal Varian のチームが400以上の事例を元に「Search Ads Pause Studies」として研究結果を2011年7月に発表しており、PPCとオーガニックはほとんど共食いしないことが証明されています。つまり検索連動型広告をやめればオーガニック経由のトラフィックが増えるということでは残念ながらなく、それぞれ純増/純減の関係にあるということです。

参考:
Studies Show Search Ads Drive 89% Incremental Traffic


では、PLA に関してはどうでしょうか。

PLA は、商品の画像、名称、価格、企業名などの商品情報が Google の検索結果に掲載される広告です。Google の検索結果画面上という意味では検索連動型広告と表示面積を取り合う仲で、オーガニックとは違って必ず掲載結果の above the fold (ファーストビュー)にあります。広告表示のためのオークションは通常のAdWords とは区別されているものの、検索結果の一等地同士なので、カニバリゼーションが起きていてもおかしくなさそうです。

そこで、少し前の記事ですが、実際にカニバっているのかどうか調べてみた記事が Search Engine Land に載っていたのでご紹介したいと思います。

参考:
PLAs: Cannibals? Allies? Or Both?


オンラインエージェンシーの RKG の共同創業者である George Michie は、500社の自社のEコマースの顧客のデータを調査し、通常の検索連動型広告(Text ads)と商品リスト広告(PLA)のCTRを比較して、「ちょっとカニバってると思う」と結論づけています。

検証の流れとしては、まず、Text ads と PLA の CTR の推移に大幅な違いがあることからはじまります。下の図では、PLA が本格化した2012年以降 PLA の CTR は大幅に上昇している一方で、Text Ads の CTR はそれに反比例するかのように微減傾向にあることが示されています。


その Text Ads の CTR を、1位〜3.9位と4位以下でプロットしなおしてみたのが以下の図です。上位掲載では CTR の減少幅が大きく、下位ではあまり変動がないことが分かります。PLA の掲載は常に Above the fold だと考えると、Text Ads の上位ほどカニバリが発生している可能性が考えられます。


続いて、昨年同月比での図に直してみると、PLA の伸びがはじまった2012年1月以降から、Text Ads の CTR の減少が続いていることが分かります。


同じ表を Text Ads だけでプロットし直してみても、上位の広告ほど減少幅が大きいことが分かります。

これらの結果を元に、George は「カニバリゼーションは起きている」としています。 PLA が伸びるほど、Text Ads の効率は悪くなるということです。

一方で、この記事では、一般的に考えられるほどカニバリゼーションは悪ではなく、あるチャネルが他のチャネルを100%飲み込んでしまうような事象というよりは、以下の図のようにそれぞれの一部がオーバーラップしているに過ぎないので、カニバリゼーションの回避に重きを置き過ぎると正しい判断ができなくなると警告しています。


確かに、PLA が実際に表示されるクエリはコマーシャルクエリに限りますし、PLA が表示されないEC以外の業界ではカニバリゼーションは起きません。カニバリが起きるからといって PLA を辞めてしまっては、機械損失が拡大するため本末転倒になってしまうでしょう。

EC以外の業界でも、ナレッジグラフやユニバーサルサーチの影響によって検索結果は常に変化しています。自社にとって有利不利を考えるのではなく、ユーザーにとってどうすれば利便性が高まるかを考える方が、PPC にせよ PLA にせよ、建設的な改善に向かうのではないかと思います。

変化が常套化するプロダクトフィード広告

一方で、2013年8月現在、北米では以下のキャプチャのような、矢印を押すとオーガニックがまったく見えなくなるほど PLA がエクスパンドするテストが行われているため、これが本格的に実装されると、さらにEコマースの PLA 依存が高まってくるのではないかと懸念されています。これはたしかにすごい。

参考:
Google Tests 16 Product Listing Ads On SERP: What Online Merchants Should Do - CPC Strategy


エクスパンド後のイメージ

予算規模の小さなEコマースでは既に PLA がアカウント全体の半分以上の予算を占めているケースも出てくるなど、商品データの広告利用は重要さを増していく反面、それだけに依存しないプランBを考えておくことが中小のEコマース担当者には求められてくるでしょう。

前回のポストでも思いましたが、PLA はまだ利用が本格化して2年足らずにも関わらず、急速に発展を遂げ、仕様変更等のスピードが非常に早いことからも、今後も大きな仕様変更を繰り返しながら成長が続いていくと考えられます。

ダイナミックリマーケティングや Criteo の登場も追い風となって、商品データが広告に結びついていく環境はもはや普通になりました。とはいえまだまだ費用対効果が比較的計算しやすい広告のため、ショップのサイズに関わらずトライして損はないでしょう。

引き続きプロダクトフィード関連の話題は随時ウォッチしながら、しつこく紹介していきたいと思います!

インプレッションシェアは改善すべきなのか?

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インプレッションシェアをめぐる言説

リスティング広告の運用者で「何でインプレッションシェアが100%にならないの?」「どうやったらインプレッションシェアが上がるの?」と質問されたことがある方は意外と多いのではないでしょうか。


2012年の11月よりディスプレイネットワークや時間帯別のインプレッションシェアが確認できるようになり、先月(2013年7月)にはキーワードレベルでのインプレッションシェアも確認できるようになって、項目が増えたぶん意味的には随分と分かりやすくなりましたが、それまではとかくインプレッションシェアというと誤解を招きやすい項目の一つでした。

インプレッションシェアを100%にすることが目的になったり、なぜ低いのか理由を求められて冷や汗をかいた経験がある人もいると思います。そこで今回はインプレッションシェアという分かりにくいレポートについて少しだけ考えてみたいと思います。


インプレッションシェアとは何か

インプレッションシェアについて、AdWords の日本語のヘルプには以下のように記載されています。

インプレッション シェアのトラッキング - AdWords ヘルプ
https://support.google.com/adwords/answer/2497703?hl=ja
"インプレッション シェア(IS)は、表示される可能性があった回数(推定値)で実際の表示回数を割った割合です。表示可能かどうかは、現在の広告の掲載対象設定、承認ステータス、入札単価、品質スコアによって決まります。このデータは、キャンペーン、広告グループ、キーワードのレベルで確認できます。"

"インプレッション シェアの意味を理解するには、オンライン広告の市場を 1 個のおいしそうなパイに例えるとわかりやすいでしょう。お客様と競争相手は、そのパイの一番大きな一切れを食べようとねらっています。インプレッション シェア データをトラッキングすることで、自分の一切れがパイ全体に比べてどのくらいの大きさかがわかります。"

このパイの比喩を使わせてもらえば、つまりインプレッションシェアとは、掴もうとするパイの大きさと、実際に掴んだパイの大きさの差を表すものだといえます。

実際に掴んだパイの大きさ(インプレッション)はアカウントで確認できますが、掴もうとしたパイの大きさはどのように考えればよいのでしょうか。以下がインプレッションシェアについての考え方をかんたんな図にしたものです。

参考: Measuring & Improving Lost Impression Share


一番大きな薄いピンク色の円は、業界やマーケット全体のインプレッションです。その中にある円が実際に設定したキーワード等によって表示機会の可能性があるインプレッションで、最後の赤い小さな円が実際に真ん中の円から獲得できるインプレッションシェアになります。

ここで勘違いしがちなのが、一番大きな円と、真ん中の円を混同してしまうことです。真ん中の円(設定したターゲットにとって適切なインプレッション)は、アカウントに設定したキーワードやターゲティングの設定、品質スコアや入札単価、マッチタイプやステータスなど様々な要因によって大きくなったり小さくなったりします。

アカウントに意味の広い大きなキーワードをたくさん入れれば一番大きな円と真ん中の円の大きさは近くなっていきますが、それはアカウントの最適化とは必ずしも一致する行為ではありません(むしろ逆効果なことが大半です)。おそらくインプレッションシェアも少なくなっていきます。

そのため、「インプレッションシェアを100%にしろ」ということは、「真ん中の円を狭めよ(キーワードを限定的にせよ)」もしくは「自社と直接関係ないインプレッションでもどんどん出るように高いCPCと予算を投下せよ」という意味になり、多くの場合最適化とは逆行した行為になってしまいます。

検索連動型広告にせよディスプレイネットワークにせよ、ユーザーが欲しくなるタイミングに適切に広告を出すことが大事ですから、その基本が考慮されずに闇雲にインプレッションシェアを上げようとする行為は予算のムダ使いになってしまう可能性が高いでしょう。インプレッションシェアという数字が意味を持つのには、アカウントの中身がその企業にとって適切なレベルに収まっていることが最低条件だと言っても過言ではありません。


インプレッションシェアを確認する2つのポイント

ではインプレッションシェアを確認する意味はないのでしょうか。

しっかりした構成のアカウントで適切な運用がされていれば、インプレッションシェアを参考にする場面はあまり多くないかもしれません。ですが、以下の2点についてはインプレッションシェアレポートがたいへん重宝されます。

1. 完全一致のインプレッションシェアを調べる場合
完全一致のインプレッションシェアは、設定したキーワードに対して完全に一致する検索クエリで発生した実際の表示回数を、同じく完全一致で表示される可能性があった回数で割った割合です。インプレッションシェアはキーワードのマッチタイプによって当然異なりますが、「完全一致のインプレッションシェア」を参考にすれば、調べたい特定の検索クエリだけで獲得可能な表示回数の実際のシェアを把握することができます。

これにオークション分析レポートを合わせると、実際の競合がどのドメインで、上位掲載率がどれくらいかを把握できるので、ビッグワードやブランドワードに寄りがちなアカウントでは非常に大切な機能となると思います。


2. インプレッション シェア損失率(予算)を調べる場合
もう一つは、予算が原因で広告が表示されなかった割合を調べる場合です。AdWords ではキャンペーンに設定してあるキーワード等のポテンシャルに対して予算が足りない状況が恒常的に続くと、「予算による制限(Limited by budget)」という表示がキャンペーン一覧の画面に表示されますが、ほんの少し足りなかったり、一時的に足りないだけの状況だと、この表示は出てきません。

そのため、予算内の運用がシビアなアカウントであったり、少ない予算でキャンペーンをたくさん切り分けているようなアカウントの場合は、効果のよいキャンペーンのインプレッションシェア損失率(予算)を調べることで、機会損失を最小限に抑えることができます。


インプレッションシェアは改善すべきか

インプレッションシェアを改善するべきかどうかはケースバイケースです。予算が限られているアカウントや、重要なキャンペーンやキーワードが明確なアカウントほど、インプレッションシェアレポートが活躍する場面があると思いますが、ただ単に予算とCPCの引き上げでインプレッションシェアを上げようとする行為は、最適化というよりは絨毯爆撃のようなやり方になってしまうことが多く、関連性を無視してオークションで孤立することになります。

同様に、アカウントの中身の見直しをせず、手許に1,000円しかないのに3,000円のパイを欲しがったり、お店にある全種類のパイを欲しがるような真似をしても仕方がありません。

インプレッションシェアを改善の目標とするのではなく、数字の意味を正しく理解し、踊らされないようにちょうどよい距離感を保って利用することが、このレポートを扱う上で大事なことなのかもしれません。

海外の Facebook Exchange の実績まとめ

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Facebook広告と Facebook Exchange


Facebook には通常の広告管理画面を利用して、右サイドバー・ニュースフィード内・モバイルなどに表示する広告と、Facebook 内でリターゲティング広告を表示する Facebook Exchange の2種類の広告があります。

通常のFacebook広告であれば設定方法から事例までたくさんの記事を見つけることができますが、2012年からスタートした Facebook Exchange(FBX) については、2013年に入ってから MarketOneなど数社が日本国内での取扱いを始めているものの、まだまだ日本語の情報は相対的に少ないです。

そこで今回は FBX について発表されているさまざまなデータをまとめてみました。データを並べて俯瞰してみることで、少しでも FBX を理解するための一助になれば幸いです。


Facebook Exchange のインフォグラフィック

以下は、広告代理店の MDG Advertising によって作成された FBX についてのインフォグラフィックです。

FBX がどのように動くのか、ニュースフィード(News Feed)と右サイドバー(RHS)の表示方法や効果の違いなどが分かりやすくまとめられています。


参考:A Marketer's Guide to Retargeting on Facebook [INFOGRAPHIC]
http://mashable.com/2013/08/15/facebook-exchange-marketing/



インフォグラフィックの下半分は、特に興味深いデータが並んでいます。以下は、FBX を通じたニュースフィード広告についてのデータですが、右サイドバーの広告と比べると197%も ROI が高いことが証明されています。

また、FBX のニュースフィード広告は、通常のリターゲティング広告と比較して CTR が21倍あり、右サイドバーと比べるとなんと49倍もあるそうです。やるならニュースフィード広告がよい、ということになりそうです。



こちらも FBX でのニュースフィード広告のデータですが、CTR、CPA がそれぞれ通常のリターゲティングと右サイドバー広告より低く、高い CTR が結果的に CPC を低くし、効率を上げることに成功していることが分かります。




濃いオーディエンスの集まるFacebook

ボストンに拠点を持つ代理店である Nanigans の発表したデータによると、FBX でのリターゲティングでは、Facebook外のサイトから収集したリターゲティングリストと比べて、Facebook内で収集したデータを利用したリターゲティングの方が89%も売上が大きかったとのこと。

また、単独で FBX を使うよりも、通常のFacebook広告を併用した方が、39%も購買客が増加することが分かっているそうです。


参考:Why Advertisers Can’t Leverage FBX without Native Facebook Ads API Buys [Study]
http://www.nanigans.com/2013/02/15/why-advertisers-cant-leverage-fbx-alone-study/




同じようなデータが、AdRoll からも出ています。

FBX のニュースフィード広告の CPC や CPA は 右サイドバーや通常のリターゲティング広告と比べてどちらも低く、CVR 自体はやや若干劣る程度のため、総合的に見てニュースフィード広告の優位性が示されています。


参考:Facebook News Feed Ad Retargeting Metrics [CHART]
http://trends.e-strategyblog.com/2013/07/11/facebook-news-feed-ad-retargeting-metrics/12655




Facebook広告自体も昨対比で改善が見られている

一方で、AdRoll は上記のデータを出す半年前(2013年2月)には「FBX は CPC が低いが通常のリタゲに比べるとコストパフォーマンスは悪い」という以下のデータを公開しています。つまり FBX の CTR は、半年前までは「低い」という評価で、2013年の7月には「高い」という評価へ逆転したことになります。


参考:FBX has lower CPCs and CPMs but web retargeting has other benefits, AdRoll finds
http://www.insidefacebook.com/2013/02/21/fbx-has-lower-cpcs-and-cpms-but-web-retargeting-has-other-benefits-adroll-finds/



実は、この CTR の急激な上昇は、ニュースフィード広告の登場が関係しているようです。FBX はもともと RHS のみで始まりましたが、2013年の3月にニュースフィード広告が始まったときから急激に CTR が上がり、一躍 FBX の主役のフォーマットに上り詰めたことが指摘されています。


参考:AdRoll report of FBX News Feed ads: 49x greater CTR, 54 percent lower CPC than sidebar retargeting
http://www.insidefacebook.com/2013/07/02/adroll-news-feed-fbx-report/



CTR の逆転現象は、他のデータでも証明されています。

Marin Software が2012年と2013年の第一四半期(1−3月)を比較したレポートによると、Facebook広告のクリック数は前年同期比で40%増、CTR は100%増(2倍)に急騰、CPC は38%の減少となった模様です。記事では、まさにオンラインマーケターの夢が叶ったかのような数値だと評しています。クリック数が増え CTR が増加した理由として、ニュースフィードの登場に代表される広告の関連性の向上が考えられるとのこと。ここ数ヶ月の間に起きた変化によって、CTR においても FBX 、特にニュースフィード広告に優位性があるのは間違いなさそうです。


参考:Are Facebook Ads Performing?
http://www.adotas.com/2013/05/are-facebook-ads-performing/



ちなみに、AdRoll は、通常のリターゲティングと FBX ではデータの重複が 8.3% しか認められないとしており、併用することによってカニバらずに売上が上がるだろうと発表しています。これは、上述した Nanigans のデータとも平仄が合うことになります。




以上、取り急ぎ FBX について報告されたデータを分かる範囲でまとめてみました。こんなデータもあるよ!というのがあれば、ぜひFacebookページなどで教えてくださると嬉しいです! 

成長を続けるローカル広告は、モバイルが追い風に

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2012年2月に 「モバイルの地域検索とローカルビジネス」というポストでモバイルネットワークのxAdが発表したローカル検索(地域検索)とモバイルの親和性についてのレポートを紹介しましたが、あれから1年半が経ち、以前よりさらにローカル検索におけるモバイルデバイスの重要性が鮮明になってきましたので、他のレポートも参考に情報をアップデートしてみたいと思います。


伸び続けるローカル✕モバイル

モバイルコマースの影響力の増大は既に周知のところです。以下のxAdのデータでも、北米では2013年はモバイルコマースがEコマース全体の15%に達し、そのまま堅調に推移して2017年には25%まで増えると予測しています。以前はモバイルコマースについては日本が突出していると言われていましたが、現在のモバイル先進国では傾向の違いはそれほどないのかもしれません。



モバイルと地域情報の親和性が高いのは万国共通です。ヨーロッパでは、2012年にはモバイル広告全体の8%だった位置情報ベースの広告は2017年には19%まで達し、モバイル広告自体も6倍以上に成長すると見込まれています。



Local Search Association と comScore が行なった共同調査によると、Google Map や Craigslist といったいわゆる地域コンテンツは、インターネット全体よりもモバイルの方が伸びが大きいという調査結果を出しており、2012年の1年間で約4倍まで伸びたと報告しています。スマートフォンの普及率の拡大が追い風になっていると考えられますね。

参考: Local Search via Non-PC Devices Quadrupled in 2012 [Study]
http://searchenginewatch.com/article/2266201/Local-Search-via-Non-PC-Devices-Quadrupled-in-2012-Study




ローカル広告に参入を進めるGoogle

こういったデータからも読み取れるように、モバイル✕ローカルは次のフロンティアとして注目されており、各社がこぞって参入/拡大を進めています。

検索の巨人である Google は 今年(2013年)の6月にカーナビアプリを提供するイスラエルの Waze を買収し、Waze の機能をGoogle Map に統合を進めています。日本のようにカーナビが普及していない欧米では、移動する端末であるモバイルとGoogle Map のアプリの併用は非常に高い需要があり、Waze の持つ現在位置に合わせて情報を表示する技術はモバイルのマネタイズに大きな貢献をすると考えられます。

参考: Waze Joins Google! | Waze Blog
http://www.waze.com/blog/waze-joins-google/

実際、以下の xAd の調査では、最もモバイル利用の多いジャンルとして、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアを挙げており、車での移動とモバイルの親和性が高いことが指摘されています。


Waze の買収に代表されるように、2013年の Google の地図関連のアップデートは非常にハイペースで、6月に Waze の買収、7月にはその Waze の機能の一部であった事故情報等の表示機能をMapアプリへ追加し、8月にはそのMapアプリの広告表示を刷新して収益化を強化しています。(2013年9月現在)

参考:Inside AdWords-Japan: 最新の Google マップ アプリにおける広告掲載について
http://adwords-ja.blogspot.jp/2013/08/google.html

これまでのデスクトップPCを中心にしたビジネスの考え方では AdWords の住所表示オプションはあまり重要性が高いとは捉えられていない向きがありましたが、ユーザーのモバイル利用/地図アプリ利用が加速していく中で、地図への広告表示に住所表示オプションが必須となると、店舗型ビジネスでの販売促進における AdWords 利用の優先順位は一段上がると考えられますし、それが Google の狙いの一つでもあると思われます。

ちなみに、「シカゴ レストラン」で検索したユーザーのうち、14.5% が右上部の地図をクリックしたという実験結果もあり、デスクトップ検索においても地図へのトラフィックは重要視されています。Googleプレイスも Google+Local への変更されており、ソーシャルとローカルの融合も図りつつあるようです。


参考:Study: Google Local Carousel Results Win 48% Of Clicks, While Only 14.5% Of Clicks Were On The Map
http://searchengineland.com/study-google-local-carousel-results-win-48-of-clicks-while-map-only-earned-14-5-of-clicks-164925


ローカルプラットフォームの競争は激化

Google のみならず、Foursquare も広告プラットフォームを開設し、ローカルやスモールビジネスの開拓を進めています。これまでイエローページが担っていたローカル広告は、モバイルと位置情報という組み合わせで、競争が激化しているようです。

参考: Foursquare Opens Self-Service Advertising to Small Businesses
http://searchenginewatch.com/article/2284910/Foursquare-Opens-Self-Service-Advertising-to-Small-Businesses



北米版食べログである Yelp も位置情報ベースの広告で非常に伸ばしている企業ですが、2013年7月には、お店の検索だけではなく、オーダーができるプラットフォームを発表しました。飲食店検索に一層の利便性をユーザーへ付与すると同時に、プラットフォーム自体のマネタイズを強化させる動きになっています。

参考: Introducing Yelp Platform! Transactions Made Easy, Directly Through Yelp
http://officialblog.yelp.com/2013/07/yelp-connects-people-with-great-local-businesses-giving-users-plenty-of-information-to-make-spending-decisions-and-allow.html




モバイルの利用時間と広告費の関係

ローカル広告が注目される背景には、モバイルとの親和性の高さがあることは間違いありません。以下の図でも分かるとおり、以前よりユーザーがメディアに接する時間と広告費の関係において、モバイルは極端に広告費が少ないとされていました。

参考: Why The Local Digital Ad Opportunity Remains Unsolved
http://www.adexchanger.com/data-driven-thinking/why-the-local-digital-ad-opportunity-remains-unsolved/


この大きなギャップが存在する以上、モバイルへの注目度は途切れることがないと考えられますし、そのモバイルのユーザー行動の中で大きなパイの一つである地域コンテンツの閲覧や検索は、これまで以上に今後も伸びていくと考えられます。

ローカル広告は店舗型ビジネスが主戦場ですが、デジタルに遅れをとっているのもまた店舗型ビジネスです。この分野へのサポートやサービスはこれからも続々と登場し、群雄割拠の様相を呈すると考えられます。引き続き注目していきたいと思います。

IABが広告運用者向けの認定プログラムを開始

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IAB(Interactive Advertising Bureau) が、2012年6月にスタートしたデジタル分野の営業担当者向けの認定プログラムに続き、広告運用者向けのプログラム「IAB Digital Ad Operations Certification」を2013年10月からスタートすることを発表しました。


Digital Ad Operations Certification
http://www.iab.net/certification/adops/overview



上記のページの冒頭には、以下のようにこのプログラムのねらいが記載されています。

"Digital media is always evolving. The skill set required for Advertising Operations professionals needs to move with these changes. With the proliferation of more and more platforms and channels, ad units and formats, metrics and tools, standardized knowledge is absolutely necessary to perform on the job."

デジタルメディアは常に発展しています。広告運用のプロフェッショナルに求められるスキルは常に変化し、多岐に渡ります。運用業務でパフォーマンスを出すためには、プラットフォームやチャネルの乱立、広告枠やフォーマットの増加、指標やツール、知識の標準化に常にキャッチアップが必要です。

"Now more than ever, Digital Advertising Operations Professionals need to work intelligently in order to make campaigns run efficiently. IAB Digital Ad Operations Certification proves you and your team understand the latest practices, tools and terminology required to succeed in the marketplace."

以前にも増して、広告運用のプロフェッショナルにはキャンペーンで効果を出すために知性が求められています。IABの広告運用試験は、運用者や運用チームが、今日のマーケットプレイスで成功を収めるために必要なツールや専門用語、実践方法などを習得していることを証明するものです。

この試験は広告代理店、パブリッシャー、トレーディングデスク、アドエクスチェンジやDSP/SSP、ブランド広告主などで広告運用に2年以上携わっている人を対象として設計されており、IABの会員は500ドル、非会員は750ドルに加えて諸費用がかかるようです。前回の広告営業向けの試験が350ドル(会員向け)だったことを考えると、試験の制作にかなり手間をかけたことが伺えますね。


試験範囲や概要もPDFで公開されています。

Candidate Handbook(受験者用ハンドブック)
http://www.iab.net/media/file/DAOCCandidateHandbook.pdf

Examination Blueprint(試験の概要)
http://www.iab.net/media/file/DAOC%20Exam%20Blueprint%20FINAL%2008%2022%2013.pdf


試験の概要には、カテゴリ別に必要な知識や試験範囲、用語集的なものも網羅されており、親切なつくりになっています。



2013年は「運用型広告」という便利な言葉も徐々に浸透し、広告の運用についての重要性が再認識された年になるかもしれません。アドテクノロジーの普及によって、デジタル領域、特に広告についてはここ数年で加速度的に複雑になっており、それに伴って広告運用担当者がカバーしなければいけない範囲もますます広がってきています。

このような認定プログラムは、職掌の専門性を証明するという意味でも、非常に意義ぶかいと思います。以前の営業向け試験と同様、1年ごとに更新が必要なようですので、資格の有用性も担保されています。

プラットフォームが増え、SEMやRTBへの投資が増え続けるなかで、その最前線を担う運用者向けのプログラム、ぜひトライされてはいかがでしょうか!金額を考えると、個人では少し高いですが。。。

State of AdOps #7:広告主が考える、広告代理店とのパートナーシップ − カイザークラフト 下川亜希子氏・窪田有希子氏

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「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第7回は、ドイツに本社を持つ業務用品サイトを運営するカイザークラフト(Kaiser Kraft K.K.)で、オンラインマーケティング事業を推進されている下川亜希子さん・窪田有希子さんのお二人にインタビューをさせて頂きました。

カイザークラフト社は運用型広告(特にリスティング広告)の運用を新宿にある広告代理店のプレシジョンマーケティング社に委託しています。今回のインタビューでは広告運用における代理店との関係性をお聞きするため、プレシジョンマーケティング社の坂萩馨さん、吉成建人さんにもご協力をお願いし、広告主と広告代理店のパートナーシップを中心に、奇譚のないお話を伺いました。


# インタビューは 2013年9月某日に行われました。



いつかは自社メディアのマーケティングを経験したかった。


現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

下川:現在はカイザークラフトのオンラインマーケティング部でマネージャーをしています。カイザークラフトはドイツで1945年に設立された業務用品のB2B通販企業です。世界30カ国で展開し、日本法人は2002年に設立されました。もともとはカタログ通販に非常に強みを持っている企業でして、近年、新たな市場の開拓としてネット通販をはじめています。

私自身はカイザークラフトに入社する以前まで、広告代理店でECサイトのコンサルティング、オンライン/オフラインを含めたメディアプランニング、リスティング広告をはじめとした運用型広告を経験してきました。代理店として広告主のサイト運営に携わるなかで、外部からのコンサルティングだけではなく、いつかは自分自身が直接ウェブサイトのマーケティングや運営をしてみたいと思っていたところ、縁あって、2011年から日本法人でのオンライン事業の立ち上げに参画することになりました。

数あるEC事業の中でカイザークラフトを選んだ理由ですが、単純に広告を出すだけといった役割ではなく、自社メディアのマーケティングに責任を負えるポジションだったことと、当時のボスから「どうしても日本で成功したい」という熱意が感じられたからですね。本社のあるドイツでの知名度と日本での知名度には大きな差がありますし、外資ということもあって苦労は多いですが、その分やりがいを持って仕事ができています。


窪田:カイザークラフトの窪田です。下川と同じくオンラインマーケティング部に所属しており、カイザークラフトのオンラインのマーケティング全般を担当しています。

私も以前は広告代理店でECサイトのコンサルティングをしていました。もう少し深くECサイトの運営に携わりたいと考えていたところ、ご縁があって入社しました。カイザークラフトでは、単なる広告の出稿だけでなく、ECの運営そのものに関わっていくことが求められるので、刺激を感じながら仕事ができています。



カタログから運用型広告へのシフト


オンライン事業の現状はいかがでしょうか?

下川:もともとドイツではカタログ通販で伸ばしてきた会社なので、オンライン事業の立ち上げの際にもどうしても成功体験のあるカタログ通販の延長のようなウェブサイトになってしまっていて、ECサイトとしての使いやすさを追求できておらず、運営という意味では少々苦戦しています。

一方で、日本でオンライン事業ができてから3年目になりますが、過去2年でオンライン経由の売上は数倍増加することができており、日本はドイツと違ってオンライン中心の戦略にシフトすることができる環境が整ってきました。来年2014年春にはウェブサイトの前面リニューアルが決定しています。

以前は、社内から「ネットでB2Bの商材が売れるとは思わない」と言われたこともありました。実際、ドイツではオンラインの売上はカタログの2−3割程度なので、その成功モデルを日本でも適用しようと考えたのだと思います。それでも、地道に本社を説得し、設定したKPIを繰り返し達成することで、少しずつ本社の認識も変わってきました。代理店の方々をはじめとして、外部からも多くのご支援を頂いているので、まだまだこれからではありますが、風が吹いてきたと感じます。リニューアルのある2014年は正念場ですね。


オンライン事業に注力される中で、運用型広告へはどのように取り組んでいらっしゃいますか?

下川:現在はカタログ通販からオンラインへのシフトチェンジを行なっている最中で、カタログの部数を減らしながら、運用型広告を強化しているフェーズです。内訳としては、大きいのがリスティング広告、次いでDSP、CriteoやDynamic Remarketing などの動的リターゲティングなどになります。

運用型広告は、知名度や企業規模にかかわらず、しっかりとした設計と運用を行えばターゲットとしているお客さまに高い精度でリーチできますので、集客のメインチャネルになります。また、カタログですと同じものを送りつけて終わりですが、運用型広告ではお客さまの関心度に応じてクリエイティブやチャネルを出し分けることができますので、お客さまごとのプロモーションが実際にできるのが強いと思っています。

窪田:カタログの送付数はピーク時の数分の一にまで減りました。オンラインに実績が出てきたことで、カタログを撒くよりネット広告の方がROIがいいことが社内的にも認知されてくるようになりました。


ネット広告を強化される中で、運用はどうされていますか?

下川:私の入社以前からオンラインについては広告代理店さんにお願いしていました。私の入社後も、サイトのオンラインマーケティング全般に関わる関係上、広告だけにすべての時間を費やすわけにはいかないので、インハウス運用ではなく代理店さんとの協働を選択しました。

以前は別の代理店さんと仕事をしていましたが、2013年からはここにいるプレシジョンマーケティングさんと一緒にお仕事をしています。



営業と運用の温度差をなくす経営を目指して


では、プレシジョンマーケティングさんからもお話を伺えればと思います。

坂萩:株式会社プレシジョンマーケティング取締役の坂萩です。2013年よりカイザークラフトさんと一緒にお仕事をさせて頂いています。自己紹介をしますと、私自身は2007年の創業時からプレシジョンに参画していまして、当時はアルバイトでの入社でした。そこから正社員に登用してもらい、現在に至ります。プレシジョンマーケティングで働く前までは、アパレル会社での販売員やASPでマーケティング担当をしていました。

プレシジョンマーケティングは営業した担当者がそのまま担当者として運用やコンサルティングも行う、という前提で経営しています。営業が強すぎると運用が疎かになって結果が出せませんし、運用だけでは事業はスケールしないと考えているからです。経営陣がみな広告代理店出身なので、各々がそれまでに経験した組織運営での弱点を克服する会社を作りたいと思って始めました。最終的には、集客から分析、LTVの最大化のお手伝いを一人のコンサルができるようにするというのが目標です。


吉成:プレシジョンマーケティングの吉成です。カイザークラフトさんとのお取り組みでは、主にサイト周りの改善や分析を担当しています。例えば、オーガニックや広告経由でのユーザーの動きを分析して改善のフィードバックをする、などですね。

前職では制作会社に勤めていましたので、制作サイドと事業者サイド、両方の視点から提案するように心がけています。単純にCPAが上がった下がったではなく、エンドユーザーの視点を持って分析するようにしています。



知識だけではない、運用者ならではの提案


カイザークラフトさんとプレシジョンマーケティングさんの協働のきっかけは?

下川:端的に言いますとコンペの結果です。先ほど、以前は別の広告代理店にお願いしていたと言いましたが、残念ながら結果が出ているとは言いがたい状況でした。結果が出なかったのは弊社にももちろん原因はあるのですが、例えば「コンバージョンが出ないのはサイトが悪い」と言われても、こちらはそのことについては痛いほど分かっているので、それを前提としてどうすればいいのか、アクションを共有できるような関係性ではありませんでした。

その他にも、私も以前は広告代理店にいたので「この設計はマズくないかな?」といった疑問があったり、当時の代理店さんからプラットフォームの最新情報を伝えてもらえなかったり(あるいは知らなかったり)というところで問題意識がありました。他がどうしているのか、本当にこのままでいいのか、第三者機関のアドバイスがほしかったという事情がありました。そこでコンペに踏み切ったわけです。

外資なのでパートナーは英語ができることが望ましいとか、本社の意思決定の問題など、コンペを実施する上でもいろいろな試行錯誤があったのですが、私としては「行動を起こせばもっとよくなるのに、何もしないという選択はできない」という思いで何とか実施にこぎつけました。(オフィスが海浜幕張なので)ダメだったら京葉線に飛び込むくらいの覚悟でやらないと(笑)、会社のためにも自分のためにもならない、そういう思いからコンペを実施しました。結果として現在のプレシジョンさんとご縁ができたかたちです。


プレシジョンさん側で、提案のときに気をつけたポイントなどはありますか?

吉成:事前に頂いたオリエンで、広告側の問題はある程度把握できていました。そこで、現在の広告でのダメなところを指摘するだけではなくて、広告経由でウェブサイトに入ってからの状況を重要視して、広告だけではなく、サイト側の原因も併せて分析していきました。

コンペにあたってはかなり詳細まで開示していただいたので、広告の実績を見ながら、サイト側の原因も同時に探っていきました。例えば、「台車」という訴求で呼び込んでいる広告のCVRがこんなに低いのに、そこでタイトルと説明文を変更しても仕方がありません。トラフィックの質を上げることは大前提で、そこにプラスして、ウェブサイト側でもこういったことをすべきではないかという提案です。

坂萩:誤解を恐れずに言えば、拝見して、改善できる自信がありました。オリエンでお伝え頂いたお悩みは共感できるものでしたし、それに応えるかたちで我々が出した提案が下川さんの問題意識と一致したことが大きかったと思います。


なるほど。カイザークラフトさんとしては、どういったところが決め手だったのでしょうか。

下川:決め手は、知識だけではない運用者ならではの提案だったからです。運用型広告はいくら語れても実際にしっかりとした設計や運用ができなければ机上の空論ですので、プレシジョンマーケティングさんはその運用がしっかりできると判断しました。

本社は英語ができるかどうかも重要視していましたが、英語でのコミュニケーションに問題がなく、英文でレポート作成のご支援をいただけたとしても、それが広告運用の成果につながらないのであれば本末転倒ですので、内容で判断しました。実際にこの方たちなら一緒にやれそうだと思ったところが大きいです。

坂萩:それは我々も同じです。僭越ですが「この人のために頑張ろう」と思えるかどうかは大事だと思っています。下請け業者ではなく、パートナーとして接して下さるのでいい緊張感と責任感を持って仕事をさせて頂いています。



社内・社外問わず、チームとして動けるかどうか。


広告主と広告代理店のパートナーシップについてご意見をお聞かせ下さい。

下川:以前私が広告代理店にいたときは、一部のお客さまではありますが、ほとんど情報がない状態で代理店に丸投げする企業さんがいらっしゃいました。しかもそれが偉い人だったりすると、なかなかその状況を打破できないというか、物申せない雰囲気があり辛い思いをしたことがあります。

現在、広告代理店さんとお付き合いする広告主という立場になって、同じことをしてはいけない、同じことをすると結果的に自分に返ってくると思っています。広告主だから、お金を出しているから偉いとふんぞり返るのではなく、パートナーとして一緒に働いてくれる企業のみなさんが働きやすいように、そして何より結果が出せるように、自分の役割を果たすべきだと思っています。

企業のマーケティング担当者の多くは広告以外の仕事がたくさんあるケースが多いと思います。他に仕事が山積みになっている状況では、自分もある程度内容を理解しながら、外部からご支援いただくのが良いバランスだというのが個人的な意見です。そういった関係性を構築できないパートナーさんとは一緒に仕事ができないですし、何かあったらすぐ言ってもらえる環境をつくるのも私の大事な仕事だと思っています。社内外かかわらずチームとして動ける事が大事ですね。

坂萩:先ほどと同じで、「この人のために頑張ろう」と思える関係性があるかどうかが大事だと思います。あとは、エンドユーザーのために良い広告を出すことができるかどうかが大事だと思います。エンドユーザーの視点を見失わなければ、それは効果として広告主企業へお返しできると思います。選び選ばれじゃないですが、いい商品を世に出すお手伝いをしたいですし、カイザークラフトさんとならそれができると思います。


最後に、今後の展望についてお聞かせ下さい。

下川:2014年の春にサイトのリニューアルが確定しているので、まずはそこに全力を注ぎたいと思います。全面リニューアルはオンラインマーケティング部の第二フェーズの幕開けだと思っています。まだまだカタログ文化の強い会社の中で、日本から本社へ影響を与えることができるまたとないチャンスだと思っています。日本はカイザークラフトのオンライン事業を開拓した国だという認識を全社に与えたい、そう思っています。

リニューアルの後であればもっと積極的なマーケティングができると思いますし、プレシジョンさんや他のパートナーさんとともに、運用型広告をより積極的に活用し、拡大していきたいと思っています。

窪田:今あるサイトは私が入ってきたときには既にあったものですが、リニューアル後は自分たちのサイトなので、何としてでも結果を出したいと思います。

坂萩:今後は今まで以上に分析と改善のフィードバックを強化したいと思っています。活用するメディアも増えていく中で、媒体社やプラットフォーマーとの取り組みの強化やアトリビューション分析の実施、リピートオーダーまで含めたLTVをしっかりと見ていきたいと思っています。

吉成:坂萩と同じですが、加えるなら来年のリニューアルはこのプロジェクトで非常に大事なポイントなので、特にサイト周りは惜しまず協力できればと思います。


本日は貴重なお話、ありがとうございました!



カイザークラフト株式会社(Kaiser Kraft K.K.)
http://www.kaiserkraft.jp


株式会社プレシジョンマーケティング(Precision Marketing, Inc.)
http://precimarke.jp

State of AdOps #8:インハウスの広告運用に大切なこと リブセンス 岩崎亮氏

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「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第8回は、最年少東証一部上場などで注目されている株式会社リブセンスの事業推進部でご活躍されている岩崎亮さんにインタビューをさせて頂きました。「お祝い金」の仕組みで人材メディアに新風を吹き込んだ「ジョブセンス」をはじめ複数のメディアを運営されている企業での広告運用は一体どのようなものなのか、現場で日々実践されている生のお話をお聞きしました。


# インタビューは 2013年10月某日に行われました。



何はさておき、計測の環境を整えることから始めた。


現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

リブセンスの岩崎亮と申します。リブセンスはアルバイト求人サイトの「ジョブセンス」、転職求人サイトの「ジョブセンスリンク」、賃貸不動産情報サイトの「door 賃貸」などを運営している企業で、現在は各メディアを横断してマーケティングを推進する事業推進部に勤務しています。

リブセンスに入社する前は人材会社で働いていました。そこで子会社の立ち上げを中心にモバイル販促のオペレーションの責任者として約4年務めました。そこでいろいろ検討した結果、リブセンスに移ることになりました。

転職活動では、主にインターネット・IT系企業を中心に探していたのですが、IT企業でも社長や現場がプロジェクトマネージャーの企業が多く、漠然とした違和感を感じていました。一方で、リブセンスは創業者たちが学生の頃からメディアを自社で構築してきたという経緯があり、面接での雰囲気も自分が想像していたITベンチャーのカルチャーがあるような気がしました。

入社してからは、ジョブセンスの広告運用を経て、現在の各メディアを横断した部署である事業推進部で、メディアの運営に関わるマーケティング全般を担当しています。広告でいえば、アフィリエイトやバーティカルメディアアドネットワーク、DSPなどが含まれます。また、広告ではないですが、先日発表があったPtmind社のアクセス解析「Pt engine」なども広告へフィードバックするという意味では含まれますね。


リブセンスが正社員求人サイト「ジョブセンスリンク」のスマートフォンサイトにおいてアクセス解析ツール「Pt engine」を採用
http://www.ptmind.co.jp/corporate/news20131009.html




広告運用で気を付けているポイント、ポリシーなどはありますでしょうか?

色々とあるのですが、何はさておき、判断のベースとなるコンバージョンの計測をしっかりしようという取り組みから始めました。運用型広告に限らず、費用がかかっているものは判断軸がブレてしまうと身動きが取れなくなってしまいますので、計測の環境や構造を改めて見直して、間違いがないかどうかを確かめました。

具体的には、再読み込みしたら重複コンバージョンとしてカウントされてしまう問題や、アクセス解析でも滞在時間や離脱の定義などを厳密に把握する、計測パラメータをリンク先URLにきちんと記載するという部分です。費用対効果の算出に関わる部分はそのまま運用方針に直結しますので、まずはここを丁寧に把握することからスタートしました。計測さえしっかりしていれば、運用でチャレンジできるようになりますので、一旦整理がついたあとは、最新のテクノロジーを積極的に試すことができるようになりました。


新しいことをトライするための情報収集などはどうされていますか?

事業推進部内で役割分担をしていまして、それぞれの担当範囲について自分たちで積極的に情報を取りにいくようにしています。例えば分析の担当者であれば最適化の数理モデルについて勉強会やセミナーに参加したり、広告の最新情報であれば専門の方のブログや Facebook も参考にしますし、実際にお会いして色々とお話を聞くようにしています。


データフィードに伸びしろがある。


現在の施策で特に注力されている分野はどのあたりでしょうか?

投資している金額という意味ではリスティング広告が最も大きいのですが、現在はリスティング以外で伸びしろや工夫のしがいがあるところに力を注いでいます。

具体的には、弊社のメディアへのトラフィックの内訳を見ると、バーティカルメディア(業界別のサイト)の割合が比較的大きいのですが、このバーティカルメディアへ情報を送るデータフィードの最適化に取り組んでいます。「ジョブセンス」でいえばいくつかのアルバイト求人情報メディアにデータフィードを送って情報を更新するのですが、案件毎に獲得単価を設定出来たりするので、「ジョブセンス」における採用率や採用単価を考慮して単価設定したり、職種や地域での単価調整をしたりしています。また、上位掲載ロジックについても CTR や CVR を加味する等メディアによって異なるため、それぞれの仕様を把握してから原因を調査し、最適化を進められる仕組みを整えています。

リスティング広告のように投資金額が大きいからわずかな改善幅でも利益が大きいというものもありますが、投資規模が少ないからといって何もしないというのではなく、「少ないからこそまだまだ伸びしろがある」と考えるようにしています。

メディア運営をしている以上、費用対効果や CPA というのはどうしても設定せざるを得ません。CPA が限られているからこそ、合わせるために無駄を排除していくという考え方だけでなく、どんどん新しいところを開拓していくようにしています。そうしないとすぐに頭打ちになってしまいますから。


データフィードの最適化は大変だと思うのですが、どのように運用されていますか?

各メディアに送るためのフィードの仕様はメディアごとに異なるので、自社のデータを各フィードに変換するツールは社内開発しています。ある CSV を吐き出したら、それを各メディアの仕様に合わせて自動振り分けするようなツールですね。

例えば弊社の賃貸不動産情報「door 賃貸」だと、自社の管理物件とそれ以外の物件(提携している他企業が管理している物件など)で利益率が異なるためおのずと限界CPAが異なりますから、フィードの送信ロジックを変更する必要があります。また、Criteoさんのようにフィードの工夫ができる広告であれば、自社の管理物件だけを広告に表示させるようにすることで限界CPAを引き上げて、その分積極的に出稿する、というような運用もしたりしています。

データフィードには有料のものも無料のものもあって、それぞれにやるべきことが違いますから、まだまだ工夫のしがいがある分野だと考えています。あとは、AdWords の商品リスト広告はまだリテールのみに提供されている商品ですが、今後サービスにも開放されればもっと盛り上がってくるのではないかと思いますね。データフィードに取り組みはじめて思うのは、「取り扱い説明書を読まないでゲームには勝てない」ということです。読まなくても運用はできるかもしれませんが、継続的に闘っていくのは難しいと思いますね。


エンジニアには常にユーザーに目を向けていてほしい。


基本的にインハウスで運営されていらっしゃいますが、運用における外部のパートナーとの取り組みはどのような方針があるのでしょうか?

基本的にはぜんぶ自分たちでできるようにしています。ですが、統一化できない部分、変化が激しい分野はなるべく外部の協力を仰ぐようにしています。社内のエンジニアには、社内ではなく自分たちのメディアに来てくれるエンドユーザーに目を向けてほしいと思っていますので、自社開発したものが自分たちの価値を高めたりマーケットの中で競争力があるものなのかどうかを常に考えて判断するようにしています。競争力があればリソースを注ぐべきだし、ないのであれば外部にお願いして効率化した方がいいですから。

広告やアクセス解析でも同じ考え方です。例えばアフィリエイトであればプロバイダーに一定の手数料を支払わなければいけないですが、普通に考えて有力なアフィリエイターさんたちを自分たちだけで集めるのは無理があります。アクセス解析の Pt engine であれば、トラフィックにおけるスマートフォン比率がどんどん高まってきていますので、アクセスデータがいまいち信用しきれないスマートフォンに対して何とかしっかりとした解析の環境を整えたいのですが、そこで解析ツールを一から開発するのはナンセンスです。だから外部の力お借りしています。

最近の例でいえば、AdWords の品質スコアを定点観測するのにこれまでは AdWords Script を使って自分たちで集計していましたが、かなり手間がかかっていたので現在では TenScores というサービスを利用しています。

Tenscores: The Google Adwords Quality Score Tool
http://www.tenscores.com/



デジタルマーケティングだからこそアナログな部分を大事に。


そういったパートナー企業との取り組みで気を付けていらっしゃることは?

当たり前のことのようですが、自社運用が基本だからこそ、一旦お付き合いの始まったメディアや外部のパートナーさんとは良い関係を構築して一緒に頑張っていきたいと思っています。

例えば広告で言うとリスティング広告やディスプレイ広告の割合が大きいのですが、そういったプラットフォーマーの方々は自分たちのプラットフォームを通じた売上を上げるために営業していらっしゃいます。一方で、我々広告主としては広告費を使うことが目的ではなく、そこから収益を上げることが目的です。ここの利害関係をうまく一致させる方向に関係を持っていくことが大事だと思っています。

プラットフォーマー側の担当者にとっては弊社がクライアントですから広告費を増額すれば評価されます。我々は費用対効果が見合えば投資額を増やすことができる。そのためにはお互いのビジネスを理解して、どういった提案があれば双方がハッピーになれるのかを考えながら仕事を進める必要があります。単なる値引き交渉だけすれば話は止まってしまいますし担当者の評価が下がってしまうかもしれません。併せて相手へのメリットを提示することで、お互いが納得してパートナーシップを結べるのではないかと思います。

デジタルマーケティングだからこそ、ビジネスの構造を理解して、アナログの部分を大切にすべきだと思います。逆に言えば、我々のビジネスを理解した上で話してくれる会社さんとは、積極的に一緒に仕事をしていきたいですね。


高いレベルで切磋琢磨していきたい。


広告運用の現場について、今後の展望などがあればお聞かせ下さい。

弊社は「あたりまえを、発明しよう。」というコーポレートビジョンを掲げています。この達成のために重要な2つのことがロゴマークに込められているのですが、1つ目が何事にも「疑問(?)」を持つこと。2つ目は「雨垂れ石を穿つ」という故事成語になぞらえて、「徹底」して行動することです。小さな努力の積み重ねを徹底することによって成果を出すというのは、広告を含めたデジタルマーケティングの運用にとって大事な考え方だと思っています。

事業推進部のモットーも ”Operational Excellence” なのですが、徹底した改善の積み重ねによってオペレーションを確固たるものにすることによって、中ではなくて外を向くことができるようになります。仕事をしているとどうしても中を向いてしまいがちなのですが、外を向いていくということを意識して、ユーザーに近い位置で仕事をしていくことが結果的に今後につながっていくと思っています。

デジタルマーケティングの変化のスピードが早いのは疑いのない事実です。変化に対して中ばかり見ていては対応できませんから、日々のオペレーションを安定させて、外を見ていく時間を確保していかないと対応できません。もっと言うと、変化を作っていく側に立たないといけませんので。


同じように企業のマーケターとして現場で頑張っている方々に一言ありましたらお願いします。

事業推進部では Livesense Digital Marketing というブログを運営しています。

LIVESENSE DIGITAL MARKETING
http://marketing.livesense.co.jp/


このブログを始めたきっかけは、より現場に近い情報をマーケティングの現場で頑張っている方々とシェアしたいという思いがあったからです。

「◯◯のための10の方法」といったタイトルの記事はたくさんありますが、現場レベルでどうしたら良いかという実践にまで踏み込んだ記事は少ないと思います。マーケターが現場で実践している細部の工夫やアイデアに価値があると考えていますので、そういったものをアウトプットすることによって、デジタルマーケティング業界の事業推進部的な位置づけになれたらいいなと、そう思っています。

日本では事例は外に出したくないという風潮がありますが、個人的にはナレッジをどんどん共有することで、業界全体の底上げに少しでも貢献できればと。自分自身ももっと高いレベルで切磋琢磨していきたいと思っています。


本日は貴重なお話、ありがとうございました!

商品リスト広告のセミナー資料と、ちょっとした補足

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先日(2013年12月10日)に行われたフィードフォースさん主催のセミナー「Google商品リスト広告の最適化ノウハウを大公開」でお話しさせて頂く機会を頂きました。

(スライドをつくってから気付いたのですが)40分という短い時間の中で言いたいことすべてを伝えるのは難しかったのと、配布資料を作らなかったためご不便をお掛けしてしまったので、セミナー資料を Slideshare にアップロードしました。せっかくなので、流れに沿って少しだけ補足ができればと思います。




「商品リスト広告」の前に

何を話そうかなと考えたときに、いきなり商品リスト広告の概要を説明する前に、この広告が出てくるに至った背景を説明しようと思いました。商品リスト広告の最適化や活用方法については検索すればたくさん出てきますし、このブログでも以前に触れています。利用が進めば、今後はもっともっと色々な記事が出てくるはずです。

探せば出てくる情報をそのまま伝えただけではわざわざ足を運んで下さる方にお土産が作れない。そこで、他の人があまりしなさそうな話をしたいなと思いました。あとは、勉強や仕事、なんでもそうだと思いますが、単に問題の解き方を暗記していくのと、設題のルールを把握した上で解くのでは、その後の応用や類推で大きな違いが生まれますし、なにより後者の方がやっていて楽しいと思います。

そこで、スライドの3つのパートのうち、最初のパートで「知ってても商品リスト広告の効果は別に上がらないけど、知ってた方があとあと効いてくるかもしれない話」をしました。


Froogle について

Froogle は2002年にスタートした Google の商品情報検索です。スライドにもあるとおり、約2年間のベータのあと残念ながら放置され、2007年に Google Product Search に名称変更、その後の2010年のマーチャントセンターと Google Shopping の開始、2011年の商品リスト広告の開始(日本では2012年)につながっていきます。商品リスト広告のご先祖様みたいな存在です。

Froogle は、Google の通常の検索と同じように、クローラーを走らせて、いろんなサイトに点在する商品情報をインデックスし、Froogle 上で検索結果として表示するというものでした。この発想自体は Google にとって自然なものだったと思いますが、幾つか問題がありました。




例えば、データの鮮度の問題。2002〜2003年当時はまだ グーグルダンスが健在であり、徐々に Everflux だ フレッシュクロールだと言われていた時期なので、Google のクローリングの精度も頻度も、今とは比べ物にならないほど低い時代でした。そのため、表示された情報が古かったり、既に売り切れていることがよくあったようです。

もちろんクローリングだけでなく、当時からデータフィードをマーチャントから受け入れる機能も用意されていましたが、Froogle のユーザー数自体が限定的でしたし、企業側も今ほど商品データを自由に扱える環境になかったため、この仕様が小売企業に普及することはありませんでした。

名寄せ(aggregation)の問題もあります。同じ商品でも、キー項目となりうるIDや商品名がサイトごとに微妙に違って管理されていることはよくあります。あるサイトでは「ABC-001 リストバンド」と登録されているものが、「ABCー001 リストバンド(◯◯社製)」と登録されているような感じです。これは、人間の目で見れば同じ商品だと認識できますが、機会が読み取るときにはまったく違うものになります。

これらを全部別々のものとしてリストしていくと膨大な量となって一覧性が損なわれるため、Froogle のように情報を集約するサイトでは、これらの情報を同じものとして認識させるための処理が必要になるわけですが、どうしても Google だけがそれを担うのでは限界が出てきてしまいます。

そこで、マーチャントセンターという Google が用意した商品データベースに企業側からデータを格納してもらうというアプローチに切り替えました。JANコードなどの共通の仕様があれば名寄せはスムーズですし、鮮度の担保や審査もしやすくなります。商品を親のキーにしてメーカーや店舗名が紐づくので、横断検索や比較もしやすくなります。

2012年に発表され、今月(2013年12月)には日本でも始まった「Google Trusted Stores」プログラムのように、商品だけでなくショップ自体を評価することも、データベースの管理が強固になることで実現できるようになりました。





ユニバーサル検索と商品情報表示オプション

ところで、いくら商品データベースが整備されたとしても、商品情報検索をするユーザーが増えないと、マーチャント(小売企業)側にとって Google にデータフィードするメリットがありません。Froogle にしても Google Product Search にしても、そこが弱みでした。普段使っている検索の画面からわざわざ商品検索用のエンジンに移動して改めて検索するようなユーザーはそれほど多くはなかったからです。

そこで、Google はこれまでのテキスト情報だけの検索結果から一歩進んで、商品情報や動画、地図や画像など、あらゆる情報を一つの検索結果に表示するユニバーサル検索を提供するようになりました。明らかに商品情報を探しているような検索クエリであれば、Product Search の内容を検索結果の一部に表示する仕様です。広告側でも、AdWords の検索連動型広告では商品情報表示オプションとして広告に商品情報をプラスボックスで表示することができるようになりました。

ユーザーに使うエンジンを選ばせるのではなく、知りたいものを察知して検索結果を適切な情報レイアウトにして表示することで、結果的に商品情報の表示機会も増え、小売企業にとってマーチャントセンターにデータを送るメリットをつくりだしたのです。



フラグメンテーションとデータフィード

このあたりからはスライドのままなのですが、メディアやデバイスのフラグメンテーション(断片化)の上昇カーブは、そのまま小売企業にとってデータフィードの必要性のカーブになると思います。断片化しているので一つ一つの接触面積は小さくなりますが、サボっていると総接触面積が減っていってしまう。逆にリアルタイムに情報の同期が確保できれば(さらに言うならそれぞれに情報の届け方を工夫できれば)、接触面積を増やすことができます。

接触面は、比較サイト、商品情報サイト、検索、ディスプレイ広告、ECサイト、ショッピングモールなど、たくさんあります。見るデバイスもマルチスクリーンです。たくさんの接触面のうち、検索についての対策が、商品リスト広告です。




データフィードについては、手前味噌ですがこのスライドにより詳細が網羅されています。このセミナーでも幾つか同じスライドを利用させてもらっていますし、論旨としてはまったく同じです。




商品リスト広告の概要と考え方

3つのパートのうちの真ん中にあたりますが、ここはほぼスライドのまま話しています。

商品リスト広告を実施するうえで最初かつ最大のわかりにくいポイントは、商品ターゲットだと思います。AdWords の運用に習熟されている方にとっては当たり前のような話でも、そうでない方にとってはどうもモヤッとして分かりにくい、というのがこの商品ターゲットなのではないかと思い、通常の AdWords の機能を分解して、商品リスト広告の場合と比較してみました。




AdWords に限らず、リスティング広告の最小ユニットは「ターゲット」と「広告」と「リンク先」です。検索連動型であれば「ターゲット」は「キーワード」になりますし、ディスプレイ広告であれば「コンテンツ」や「プレースメント」や「オーディエンス」になります。

「商品リスト広告はキーワードがない」と言いますが、もう少し細かく言えば、「キーワードや広告やリンク先として機能する情報がみんなマーチャントセンターに入っているので、商品リスト広告では商品ターゲットを使ってその情報の仕切り方を指定する」といった感じです。これさえ押さえておけばあとは特に難しくないと思います。



海外事例について

最後のパートは、アメリカの CPC Strategy という会社の事例を利用させてもらいました。CPC Strategy は太っ腹なので、個人情報等のフォーム入力の必要なしにホワイトペーパーがダウンロードできます。興味ある方は以下からご覧ください。

White Papers | CPC Strategy
http://cpcstrategy.com/resources/white-papers/




この事例が面白いなと思ったのは、いい話じゃなくて悪い話が書いてあることです。事例というと成功事例ばかりが出てきやすいですが、商品リスト広告に慣れてくると陥りやすいワナがしっかり提示されていたので、参考になればと思いました。

検索連動型広告でも、1広告グループ1キーワードにこだわり過ぎてマネジメント不可能な状態になったり、地域ターゲットを細かく分割しすぎて逆に表示機会が減ってしまったりといった陥穽をたまに見ることがありますが、そんな感じかなあと思っています。

ところで、この事例では AdWords の話がメインになっていますが、商品リスト広告で一番大事なのはフィードの中身と正確性です。言い換えれば、フィードさえちゃんとしていれば、AdWords の商品ターゲットは全商品指定にしておいても何となくそれっぽい結果が出てしまうことが多いのも(今のところ)、AdWords 側の運用があまりフォーカスされない理由かなあと思うことがあります。



商品リスト広告の今後について

2013年は商品リスト広告のリリースラッシュの年でした。ここ最近のどの広告商品よりもアップデートが多かったのではないかと思います。

2014年もその勢いはおそらく変わることはないと思います。既に公表されている範囲だと、ショッピングキャンペーン(Shopping Campaigns)がスタートすることが先日発表されています。

Introducing Shopping campaigns: a better way to promote your products on Google
http://adwords.blogspot.jp/2013/10/introducing-shopping-campaigns-better.html



AdWords とマーチャントセンターの管理がしやすくなるほか、現在はかゆいところに手が届いていないレポーティングなども強化される予定なので、マーチャントセンターのデータマネジメントのみならず、AdWords の管理にもスポットが当たることになるのではないかと思います。

商品リスト広告のみならず、動的リマーケティング、ローカルストアフロント(Storefront)など、Google だけでも商品データの活用は今後も広がっていくと思います。個人的にもっとも楽しみにしているエリアです。




State of AdOps #9:一人だからこそ、自分で考えなければ進めない − 株式会社LIG 小林享平氏

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「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第9回は、『リスティング広告担当者がチェックしている運用に役立つサイト10選』という記事でadmarketechをご紹介頂いたことがきっかけになり、株式会社LIG(リグ)でリスティング広告を担当していらっしゃる小林享平(きょーへい)さんにインタビューさせていただくことになりました。


ウェブ制作会社でありながら自社サイトのメディア化に成功され、エッジの効いた情報発信をし続けているLIG。ウェブサイトをつくる制作会社の中で、集客を担うリスティング広告を担当することの醍醐味や、LIGのリスティング広告が有名になった「LIGLIS」の裏側など、忌憚のないお話をお聞きしました。


# インタビューは 2013年12月某日に行われました。



LIGLISが想定外にバズりました(笑)


きょーへいさんが現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容を教えて下さい。

LIGの小林享平(きょーへい)と申します。LIGには2012年の新卒で入社しています。大学4年生のころは普通に就職活動をしていたのですがなかなかうまくいかなくて、卒業後に人材紹介会社の第二新卒インターンのプログラムに参加して、そこでLIGを紹介してもらったのが最初のきっかけです。

当時のLIGは社員が7−8人で今よりだいぶこじんまりとした会社でした。インターンをはじめてから半年後に正社員に登用してもらったのですが、ちょうどその頃に「リスティング手伝ってくれない?」と当時リスティング担当だったジェイに声を掛けられてリスティングを手伝うようになりました。その後、ジェイが転職することになり、そのまま私が引き継いで今に至ります。



リスティングを手伝うようになったのはLIGLISをリリースした頃ですか?

リリースの数ヶ月前から手伝っていました。LIGLISを発表する前まではそんなにたくさんお仕事があったわけではなかったので、ジェイがディレクションも運用もほぼ一人で回していました。



ただ、LIGLISがバズってしまって(笑)、非常にたくさんのお問い合わせをいただくようになりました。ジェイ一人では回らないので、この時期から私も一つのアカウントを担当する本格的な運用を手伝うようになりました。とは言っても二人だけだったので、当時はせっかくお問い合わせ頂いてもお断りするケースが多かったのが申し訳ないと思っています。

ジェイから業務を引き継いでからは基本的に私が一人で担当しています。



誰に向けた広告なのかを意識しています。


リスティング広告は最初どのように勉強されましたか?

どんな仕事でも体系的な部分と実務的な部分とがあると思いますが、体系的な部分はリスティング広告がどういうもので、仕組みやお金の流れなど、基本的なところをOJTを通じて教わりました。

OJT以外で一番助かったのは書籍です。振り返ってみると、初心者にとっては細かいテクニックよりまず全体を網羅した情報が役に立つのではないかと思います。書籍は必要な情報がパッケージになっているので、リスティング関連の書籍を何冊か読むことからはじめました。

いくつか読んだ中でも、SEM-LABOの阿部さんが書かれた本『リスティング広告 成功の法則』は特にお世話になりましたね。(注:現在は最新版『新版 リスティング広告 成功の法則 』が出版されています)

実務面では、とにかく管理画面に慣れることでした。運用業務を細かい作業に切り分けて、入札単価の調整、マッチタイプの追加、予算管理など、一つ一つ確実にこなせるようにしていきました。

現在は、先日記事にもさせていただいたブログやウェブサイトを中心に日々情報収集しています。




1、admarketech(アドマーケテック)
2、MarkeZine(マーケジン)
3、Web担当者Forum
4、SEM-LABO
5、Google AdWords Lab(グーグル アドワーズ ラボ)
6、listhing labs(リスティング ラボ)
7、Inside Adwords Japan
8、Yahoo!プロモーション広告 公式ラーニングポータル
9、でぶててWEB録
10、日刊リス男TIMES~リスティング広告news~

それ以外でも参考にしているサイトはたくさんあります。挙げるとキリがないのですが、例えば SEM HACKsSEMカフェなども参考にさせていただいています。SEMカフェは Facebookグループ も活発なのでとても勉強になりますね。




リスティング広告の運用で気を付けていることはありますか?

この広告は誰に向けたものなのか?というのは意識するようにしています。キーワードをたくさん並べればいいというわけではなくて、この企業の想定する顧客はどういった人なのか、俗にいうペルソナのようなものを想定して、この情報を探しているときにこの広告を見たらどう思うだろうかと考えながら作るようにしています。

他の人はどうか分かりませんが、リスティング広告はある程度一人でできるようになると、急に辛い時期がくるような気がします。単純作業が業務の大半を占めていたり、膨大なエクセルやキーワードと格闘する毎日なので、精神的に参ってくることがあるんです。

ただ、そこから一歩踏み込んで、お客様のお客様、つまりユーザーが何を考えてその検索クエリを入力しているのかを想像したり、続々と出てくる機能やツールを駆使して効果が上げられないかを考えていくと、普段の作業への取り組みも変わってきます。自分の中に引き出しを増やしていく感覚です。



一人でやっているからこそ、自分で考えないと進まない。


普段の一日のお仕事の流れを教えて下さい。複数名いると分業ができると思いますが、お一人の場合気を付けていることなどがあれば。

朝出社したら運用しているアカウント全体をチェックします。レポートは週次が多いのですが、週に1回だけの作業だと進捗を把握できなくなるので、日別レポートとして午前中に必要項目を埋めておくようにしています。

あとは、テストや変更後の実績の確認ですね。広告文のABテストをしていることが多いので、その結果を確認したり、十分な量があれば分析結果を出したりします。あとは検索クエリレポートを見て、追加キーワードや除外キーワードを作成します。

情報収集は定型業務が終わったお昼にすることが多いです。

気を付けていることは、効率化でしょうか。広告代理店さんのようにたくさんのアカウントを管理しているわけではないので、何でも自動化するというわけではないですが、定型業務はなるべく簡素化するように心掛けています。一方で、他社がどういうレポートや帳票を出しているのかは分からないので、どうすればもっと良くなるのか知りたいと思うことはあります。


なるほど。一人で担当することの悩みなどはありますか?

リスティング広告に共通する悩みなのかもしれませんが、何が正解なのか分からないのが悩みです。あるアカウントで行った施策がうまくいったからといって、別のアカウントに同じように適用してもうまくいくとは限りません。自分の中の引き出しを増やしながら、柔軟に発想していくことが求められる仕事だからこその悩みだと思います。

あとは、やはり一人なので相談する相手がいないことですね。誰かと意見交換をしながらアイデアが出てくるということってよくあると思うのですが、一人だとそうはいきません。社外の方と話すこともたまにありますが、詳細はもちろん話すわけにはいかないので、どうしても一般論になってしまいがちです。

ペアプログラミングじゃないですが、リスティングの運用でも作業の過程を一緒に見ながら進められたりしたらいいなと思ったりすることがあります。


逆に、一人だからこその良い点などは?

すべてのリスティングのお客さまは自分が担当しているので、自分のやった施策がすぐに結果として表れるので面白いです。どこを改善したらどうなったというナレッジがたまりますし、お客さまからもダイレクトにフィードバックをもらえます。

あとは、逆説的ですが、担当できるお仕事の数が限られていて、情報やツールも限られているからこそ、自分で考えるクセがついたことでしょうか。一人でやっている以上、すべては自分の責任ですし、誰かに言われたからやるのではなく、自分で考えて実行していかないと前に進めません。

リスティング広告の業務を通じて、自ら考えるということの重要さを学ばせてもらっていると思います。



制作会社ならではの強みを出していきたい。


ウェブ制作とリスティングの連携などはありますか?

お客さまの状況によりますが、ランディングページをセットでご提案することができますし、ディスプレイネットワークのバナー制作も社内で連携できます。

あるお客さまでは、他社で運用していてほとんどコンバージョンが上げられておらずLIGにご相談いただいたのですが、移行時に細かいアカウント構成への変更とウェブのリニューアルを同時に行うことによって、問い合わせが急増したという事例があります。

制作を任せていただければちょっとした変更はスピーディにできますし、広告と連携してABテストなどを行うこともできます。運用と制作が近いのはウェブ制作会社ならではの強みだと思っています。


広告運用にメディア運営のノウハウが生きることはありますか?

現在はLIGのブログのバナー広告の管理も担当していまして、頻繁にアナリティクスのウェブテストで出し分けをして効果の確認をしているのですが、着地ページとバナーの表現を合わせたり、LIGのメンバーをクリエイティブに使うとクリック率が高いといったことが分かっています。まあLIGのメンバーを使うというのは社内限定的なナレッジですが(笑)。

LIGではおもしろ記事でもまじめな記事でも、厳しくチェックが入りますので、表現については常に注意を払っています。広告文やバナーなどでもそれは同じですし、お客さまの広告運用を預かっているので、間接的かもしれませんが、メディア運営が広告運用とつながっているなと思います。



ヨコの繋がりを増やしていきたい。


「今後こうしてきたい」といった目標などがあれば教えて下さい。

企業内で一人でリスティング広告を運用している人は多いと思いますので、そういう方たちとヨコの繋がりを作っていきたいですね。一人だと悶々と考えてしまうので、勉強会などを通じていろいろな方々と交流を持っていきたいと思います。


同じように少人数でリスティング担当として現場で頑張っている方々に一言ありましたらお願いします。

一人でリスティングの仕事をしていると、社内でも自分の仕事が理解されていなかったり、結果が出なくて苦しいときに相談相手がいなくて孤独を感じたりすると聞いています。私自身もそういう時期がありました。

でも、施策が結果に繋がるサイクルが早い仕事ですから、一度いいフィードバックを得られればよい方向に動くようになりますし、結果は自信につながります。お互いあきらめずに頑張っていきましょう!


本日は貴重なお話、ありがとうございました!


アドワーズと私

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アドワーズとの出会い

初めて Google AdWords(以下:アドワーズ)の存在を知ったのは2002年の秋だった。

その頃、僕は勘定系のプログラムばっかり組んでいるうだつの上がらない24歳のシステムエンジニアで、たまたま顧客企業のエンドユーザーが使う画面を設計したことがきっかけで HTML や CSS を覚えたことで、漠然と華やかな気がすると勘違いしてウェブの仕事に移りたいと考えていた時期だった。

当時は「ウェブといえば制作」くらいしか頭になかったので、とりあえずウェブデザインの雑誌をいくつか定期購読しては特集されている内容を週末に片っ端からマネするということを続けていた。そんな中、たまたま目にした「Web Creators」の2002年12月号の特集記事は、それまでの制作テクニック的なものとは違って、ウェブサイトをつくった後のアクセスアップについての特集が組まれており、当時 Google Japan の営業本部長だった佐藤さん(現ATARA会長)が見開きでドーンと写真入りで紹介されていた。まだ渋谷のセルリアンタワーの狭い一角を借りていた頃で、社員も十数名だった頃のはずだ。



その翌年に直接佐藤さんにお会いしてから現在に至るまで10年以上にわたり目を掛けて頂くことになるのだが、当時はそんなことが想像できるはずもなく、記事を見た最初の印象は「これがビジネスになるのか〜へぇ〜」というものだった。

記事を見た翌年の2003年3月、あまりのセンスのなさにエンジニアを続けることは諦めて、小さなネットベンチャーというかネット専業広告代理店に転職。そこで数ヶ月前に記事で読んだアドワーズに関わるようになる。

当時はまだネットバブル崩壊の残滓が色濃く残っていた時期で、「ベンチャー」という言葉に対してやや鼻白む風潮があったのだが、SI の業界構造とシステム開発の辛さに嫌気が差していた僕はとにかくインタラクションが起きフィードバックのサイクルが早いウェブという分野に憧れていて、転職する企業も SEM に絞っていたわけではなく「そういえば記事で検索エンジン最適化とかあったな」「ウェブ系の企業はみんなベンチャーみたいなもんだ」程度の認識で、とにかくネットだベンチャーだという感じで転職したのだった。そこでアドワーズに出会い、人生が回りはじめるのだから今思えばラッキー以外の何物でもないと思う。

転職した直後は SEO を顧客企業に提案する仕事をメインにしていたものの、他の社員のヘルプで Overture の DTC(Direct Traffic Center)と Google のアドワーズを触るようになって、徐々にその魅力に取り憑かれるようになった。当時はオーガニックの検索結果の刷新が月1回という牧歌的な時代で、僕がウェブの仕事に求めたフィードバックの早さはそこにはなく、むしろ取ったアクションに対して説明責任がなかなか果たせないことに失望に近い感情を抱いていた頃だったので、設定したすぐ後には掲載が始まり、3時間もすれば実際の数字として管理画面に反映されるというリスティング広告のフィードバックの早さに、それまで求めていたウェブらしいスピードと明快さを感じたのだった。


ユーザーの支持

当時は今より圧倒的に Overture の方が取り扱い高が多い時代だったものの、調べれば調べるほど、使えば使うほどアドワーズの思想や設計の方が優れているように僕には思えた。

Overture の担当営業は毎週の数字のヨミをただ詰めてくるだけだったが、Google の担当営業(この方は後の先輩で、恩人の一人)は、会うたびに新しい機能や目指している世界観を語ってくれた。アドワーズの数字にはほとんど触れず「ユーザーの支持が大事です」と繰り返されていたのが印象に残っている。2週間に一度のミーティングはいつも楽しみだった。

僕自身がアドワーズの設計が優れていると思っていたのはこの「ユーザーの支持」という部分だった。当時、 Overture は上限CPC(クリック単価)だけでランキングが決まる仕組みで、管理画面の DTC は自分が入札しているキーワードの他の広告主の入札単価が見れる仕組みになっていたので、運用のかなりの部分を入札競争が占めていた時代だった。そんな中で「ユーザーの支持が大事」という言葉はとても新鮮に聞こえた。

実際、ユーザーの支持はアドワーズの仕組みに組み込まれていて、広告掲載可否、順位および課金は「広告ランク」というもので決まっていた。(今でもそう)

そして、広告ランクは以下のような式で成り立っていた。



「広告が自分が求めていた情報だと思えば人はクリックする。だからクリック率はユーザーの支持の証明」という理路はとても分かりやすいし合理的に思える。実際にこの説明を聞いた時には「そうだよなー」と思ったのを記憶している。

ただ、このユーザーの支持があったとしても、上位の広告のCPCが低いと儲からないんじゃないかなあと思いつつこの式のメモを取っていた時に、「ああ、そうか」と気付いた瞬間があった。夕方のオフィスで一人稲妻に打たれたように呆然とした。

その時のメモは、今でも若い人に説明する時にたまに使っている以下の式だ。




広告ランクは因数分解するとインプレッション単価になる。つまり、アドワーズは表示する広告としての収益性が高い順にランキングしていくということだった。ユーザーの支持=クリック率を順位の決定式に組み込むことで、広告を掲載する検索エンジン自身の収益が最大化する仕組みになるのだ。

このことは今ではアドワーズに関わる人なら誰でも知っていることで、常識である。でも、2003年の時点では常識ではなかったと思う。僕は初めてこのことに気付いた時「天才っているんだな」と思ったことを覚えている。ユーザーの支持と収益性を無理なく両立させるなんて、なんて美しいんだと。その時に走った衝撃が10年以上経った今でも似たような仕事を続けている原点になっている。


フェアなモデル

一方で、反論もあった。式の構成要素が上限CPCとクリック率だけなので、仮にユーザーの支持が得られなくてもお金さえたくさん払えれば上位表示が可能ではないかというものだ。これにもアドワーズは順位の仕組みと課金の仕組みを分けることで回答を提示していた。





計算の分母が自分のクリック率で、分子はライバル企業の広告ランク(上限CPC×クリック率)なので、クリック率同士で約分できることになる。単純な算数だが、分母である自分のクリック率が高ければ高いほど、割り算の商である CPC は低くなる。逆に自分のクリック率が低ければ CPC は高くなるということだ。

クリック率が低い、つまりユーザーの支持が低い広告はそもそも相当上限CPC を積まないと広告が出ないか、クリックにかかるコストが極端に高くなって広告の費用対効果が見合わなくなるため、必然的に市場から退場するかもしくは広告の品質を上げるためキーワードや広告の見直しをせざるをえなくなる。ユーザーの支持が高い広告であればあるほど、廉価に集客できるモデルになっており、かつ出稿側の自浄作用が働くのである。僕はこれを知った時、フェアなモデルだと思った。
(ちなみに、広告の掲載順位は広告ランクが高い順に並んでいるので、割り算の商が自分の設定した上限CPCを超えることはない)

この2つの式を知ってから、僕の仕事へのモチベーションは大幅にアップした。自分の仕事にはきっと意味があると感じることができるようになり、Google の社員でも何でもないのに、このフェアなプラットフォームはもっと世の中に広まるべきだと勝手に思うようになった。結局、最初に稲妻が走ってから3年半後に巡り巡って Google の社員になることができ、それからさらに5年後に Google を辞して今の仕事に就いて2年半が過ぎたのだが、この時から今まで、このフェアなプラットフォームがもっと世の中に広まるべきだという考えはほとんど変わっていない。


品質スコア、予測の精度、ディスプレイネットワーク

話は少し戻るが、2003年にパブリッシャー向けの広告ネットワークとして AdSense(以下アドセンス) が始まって、検索クエリだけでなくコンテンツにもマッチングさせることが可能になった。そのページに記載されている内容(コンテクスト)と、入札された広告をマッチングさせる「コンテンツターゲット」である。Google が発展させてきたウェブサイトのインデックスの仕組みを広告にも応用させたものだ。

最初はテキスト広告だけだったが、後にバナー広告、動画広告、ガジェット広告などのフォーマットの充実が図られ、プレースメントターゲットやオーディエンスターゲットなどのターゲティングメソッドの追加につながっていく。

広告ランクの計算式もクリック率から品質スコアに変わり、単純なクリック率だけでなく、リンク先のページの中身や過去のアカウントの履歴、そのクエリでのこれまでの世の中実績などを考慮するようになった。考えてみれば当たり前で、「ユーザーの支持」が収益の最大化とエコシステムのフェアネスを担保していると考えれば、品質スコアは指標自体をブラックボックス化したかったのではなく、予測の精度を上げるために変数を増やしたと理解することができる。クリック率はインプレッションが出た結果なので、その瞬間のクリック率を算出することはできないわけだから、クリックされる可能性としての予測クリック率(pCTR)の精度を上げるためにあらゆるシグナルは使われている。

※この辺は以前に書いた記事もご参照下さい
http://www.admarketech.com/2013/08/adwords-quality-score.html


ちなみに、GDN(グーグル ディスプレイ ネットワーク)は検索よりも考慮しなければならない変数が多い。検索の品質スコアは Google 内での結果に限られるが、ディスプレイ広告ではサイトやページは無数にあり、広告枠も入札に参加する広告フォーマットもターゲティングメソッドも検索とは比べものにならないほど存在するからだ。それらの変数を考慮して瞬時に計算し広告を配信することは一朝一夕にはできない。ディスプレイ広告の進化として RTB が語られるようになって数年が経っているが、Google は自社の構築したネットワークでの RTB に既に10年の歴史を持っている。

ディスプレイのカオスマップを読み解くのはなかなか一苦労だという人も多いと思うが、アドワーズとアドセンスの関係を理解していると、カオスマップ内の各構成要素のほとんどを Google のプラットフォームが持つ各機能の直喩として表現することができる。リスティング広告に長けている人が DSP の運用にもすぐにキャッチアップできると時折言われるのは、このことに無関係ではないと思う。





まとめのようなもの

2006年に入った Google は世界を変えたいと思う人たちの集まりだったが、僕自身はそんなことを口に出すのもおこがましい単なる一小市民だったから、Google に入った当初は勢いで入っちゃったものの一体何ができるのかと途方に暮れた。

そんな時、Google に入ってから上司(の上司)になった佐藤さんが「一人ひとりが Google のエバンジェリストだから」と言って下さり、僕自身は世界を変えていける当事者でもなんでもないけど、少なくともアドワーズで僕自身の世界は変わったことは確かであるわけだから、変わったよと他の人にも伝えることはできるんじゃないかと思った。そして、アドワーズの営業とは、「変わったよ」だけじゃなくて、「変わったからこうした方がいいよ」と伝える仕事だと理解してからは、スムーズに自分の役割を理解できるようになった。

Google を卒業してから3年目になるが、立場は変わっても、役割は変わっていないと思っている。Google が変化の重要な旗振り役であることに変わりはないが、変化は Google 以外でもあらゆるところで起きているので、「変わった」と言い続けられるように、「こうした方がいい」と伝えられる何かを持ち続けられるように、変化している個人や企業を応援できるように、自分自身が変化し続けていかなければならないと思っている。

2013年にモバイル広告はどれだけ伸びたのか?

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#あけましておめでとうございます。2014年もよろしくお願い致します。

例年、年末年始はその年のトレンドを予測する記事が増えます。一方で、前年に見立てた予測に対して現実はどうだったのかを振り返る記事は、その予測ほど多くはありません。

このブログでも、2013年の最初の記事は海外のオンライン・マーケティング市場の予測記事をまとめたものでした。そこで、2014年の予測をする前に、2013年の最初の記事から1年経って、実際はどうだったのか少し振り返ってみたいと思います。


海外の市場予測から浮かび上がる2013年のオンライン・マーケティング5つのトレンド
http://www.admarketech.com/2013/01/2013prediction.html


昨年の記事で、海外のメディアの多くは以下の5つを予測していました。
予測1. モバイルの完全な離陸
予測2. ソーシャルメディアの計測と連携の強化
予測3. 地方/中小企業(SMB)市場の伸長
予測4. マーケティング施策の精緻化と、統合分析の本格化
予測5. 分析系人材採用とプライバシー問題の加熱

これらの予測の多くは実際に起こったように思います。予測2.は Universal Analytics の本格稼働や Facebook Exchange の伸長などが代名詞となりましたし、予測5.のような分析計人材については日本でも毎週のように記事が書かれ、7月にはデータサイエンティスト協会が発足するなど、まさに市場が加熱していたような印象です。

以下では、上記の中でも比較的定量的に把握ができそうな「予測1. モバイルの完全な離陸」について、もう少し細かく振り返ってみたいと思います。


現実が予測を追い抜いたモバイル広告

1年前の記事では、以下の eMarketer の記事を引用して、2013年のモバイル広告の成長を紹介していました。

New Forecast: US Mobile Ad Spending Soars Past Expectations – eMarketer Newsroom


これによると、2013年の米国のモバイル広告の市場規模は43.1億ドル(約4,500億円)と予想されています。2012年対比で65%増という見込みです。

しかしながら、昨年末(2013年12月)に発表された最新の米国モバイル広告市場規模は、以下のように上方修正されています。

Most Digital Ad Growth Now Goes to Mobile as Desktop Growth Falters - eMarketer


更新された上記の表では、2013年の米国のモバイル広告市場規模は96億ドル(約1兆円)となり、2012年対比で120%増(2.2倍)ということになっています。

比較元の2012年も26.1億ドル→43.6億ドルと17億ドルほど上がっていますが、2013年はそこからさらに2倍以上成長したことになり、2012年時点での予測を遥かに上回るスピードで伸びていることが分かります。計測の元データが若干違う(前回予想では email と lead generation が含まれていない)ことを差し引いても、現実が予測を追い抜いてしまっているようです。

この表がさらに衝撃的なのは、2016年にはモバイル広告がデスクトップ向け広告に規模としてほぼ並び、2017年には逆転すると予測していることです。これまで予想より早くモバイルが成長していることを考えると、あと2−3年も経たないうちにインターネット広告を巡るデバイスの風景はガラッと変わってしまうのかもしれません。


モバイルでも検索が牽引

急速に伸びているモバイル広告の内訳はどうなっているかというと、やはり検索が一番手に挙げられるようです。

これも同じく eMarketer ですが、2013年の8月に発表されたモバイル広告のフォーマット別予測によると、2013年時点でモバイル広告の50%強は検索連動型広告が占めており、その比率は若干変化するものの将来に渡って高い比率を保つことが予測されています。


Mobile Gains Greater Share of Search, Display Spending - eMarketer


モバイル広告の市場規模については調査会社各社で微妙に予測が違っていますが、検索連動型広告が高いシェアを占めることについてはほぼ同じような予測を立てています。上記の表では2013年のモバイル検索連動型広告は約43億ドルとなっていますが、モバイル広告費を約70億ドル規模とややコンサバに予測している Forrester Research でも検索は約38億ドルほどと見込んでおり、eMarketer より検索連動型広告の比率を高く見積もっています。

IAB はデバイス別にフォーマットの比率を発表していませんが、IHS の発表資料を見るに、アジアは50%弱、米国は55%程度と見るのが妥当のようです。

↑クリックすると拡大します

[PDF]www.iab.net/media/file/GlobalMobilePresentation2013FINAL.pdf



デバイスの伸びによって変わるユーザー行動

「スマートフォンやタブレットの台数が増えている」という事実は今さら言うまでもないですが、スマートデバイス・モバイルデバイスの普及による消費者行動の変化は顕著に起こっています。

以下のインフォグラフィックはそのいくつかの例が挙げられています。

Infographic - People Shopping on Mobile Devices Visit More Sites Than Those on a PC - Velvet

モバイルデバイスでは、PCと比べて2倍、Eコマースのサイトに訪問しています。


必ずしもショールーミングばっかりしているわけではなく、むしろ家でこそ探しています。


モバイルではブランドサイトを見てクーポンをゲットし、PCではレビューを見ます。


モバイルコマースはわざわざ指摘せずとも確実に生活に浸透してきていますが、インターネット広告費の2割のシェアを持つ小売(Retail)業界がこれを黙って見ているわけはありません。


リアルタイムにあらゆるデバイスに情報を届けることは、ユーザーのタイミングに合わせて情報を提供することを可能にします。商品リスト広告が2013年にモバイル対応したように、商品情報そのものが広告になりうる時代において、モバイルへの対応は小売にとって既に必須事項のようです。

これまではエンタメなどの一部の業界に出稿が偏っていると言われていたモバイル広告ですが、小売をはじめとした主要な業界もユーザー行動の変化に合わせたモバイルデバイスへの対応を加速させていくと思われます。

2014年も、これまで以上に市場の伸びと進化が感じられる1年になるのは間違いありません。引き続きモバイルを巡る状況はウォッチしていきたいと思います!

Ad Ops Summit 2013 から学ぶ広告運用に必要なこと

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高まる運用者の需要

LUMAscapes の Display Landscape や Chiefmartec の Marketing Technology Landscape に象徴されるように、アドテクノロジー/デジタル広告業界のプレイヤーは年々増加し、情勢は常に複雑に変化し続けています。

デマンドサイドである広告主、サプライサイドであるパブリッシャー、そしてその間をつなぐ製品やプラットフォーム、広告会社やトレーディングデスクなど、数多くのステークホルダーを巻き込んで、変化は年々加速しているように思います。


2000年代初頭に検索連動型広告が登場してからは、アウトプットや運用方針から遡及的にキャンペーンを設計し、リアルタイムに反映される結果を判断しながら改善を早いサイクルで繰り返していく、いわゆる「運用型広告」が伸びていきました。その運用型広告の伸長にともなって、デジタル広告の技術は進化し、広告のエコシステムを形成するプレイヤーの種類や数は日増しに増えてきています。

一方で、プレイヤーの数が増えれば増えるほど、実際に広告を運用する実務者が把握しなければならない範囲は増大し、技術の進化とプレイヤーの増加に比例するかたちでキャンペーン複雑さは増します。複雑さが増せば増すほど簡易化や自動化という誘惑に駆られますが、簡易化や自動化は、複雑さを受けとめた上で細部にわたる設計や調整を行なわないと実現できず、口で言うほど簡単な作業ではありません。

RTB によって取引そのものはどんどん自動化されていく傍らで、複雑化・多様化する各種システムを理解し、それらを組み合わせてキャンペーンの全体設計や詳細設計、分析の結果を施策に落とし込める運用者の需要は年々高まっています。今後ますますデジタル広告の主役となっていく運用型広告において、キャンペーンの成否を分けるのはシステムではなく、それを使う人だと言えるのではないでしょうか。


IAB Ad Operations Summit という場

様々なメディアに様々なデバイスを通じて配信される広告を適切に運用していくことは容易ではありません。多くの場合、運用者へかかる負担やプレッシャーは大きく、トレーディングデスクや広告代理店であればまだしも、孤独な中で複雑な状況に直面しているしている運用者も多いと思います。

そのような状況の中で、IAB は近年、広告運用に対するイベントや資格に力を入れています。2013年10月には広告運用者向けの認定プログラム「IAB Digital Ad Operations Certification」をスタートさせ、運用者の環境整備をバックアップしているほか、年々複雑化する運用型広告の業務を俯瞰し議論する場として 2008年から「Ad Operations Summit」という、広告運用者向けのイベントを開催しています。


AdOps Summit Overview
http://www.iab.net/events_training/2013/adops/overview



少し前ですが、2013年11月に「Ad Operations Summit 2013」が開催され、様々なディスカッションが行われました。当日モデレータを務めたトレーディングデスクを提供する Operative の CEO である Lorne Brown が、ブログで当日の振り返りを記載していますので、この記事から今後の広告運用に必要なことを読み取っていきたいと思います。


Photo: IAB Ad Tech & Data Leadership (http://www.iab.net/ad_tech_data_leadership)


The New Age of Ad Ops | The Op-Ed
http://theoped.operative.com/the-new-age-of-ad-ops-key-takeaways-from-iabs-ad-operations-summit-2013/



3つの現実

アドテクノロジーはディスプレイ広告の改革と同義に捉えられることが多く、これまで多くがデマンドサイドの話が中心でした。近年、Publisher Trading Desk などの新しい事業モデルなどを含め、サプライサイドであるパブリッシャーの動向に注目が集まっています。

Lorne が、モデレートを始める前に以下の3つの現実に注目したいと述べたのも、そういった背景が関係していると思われます。

"New competition is forcing publishers to create new business models"
新たな競争は、パブリッシャーに新たなビジネスモデルを要請している。

"Publishers continue to lag in the ad tech arms race"
パブリッシャーはアドテクの陣取り合戦から引き続き遅れている。

"Innovation and complexity driven by buy-side ad agencies have diluted the publisher’s ability to think strategically about strategy and organizational structure"
バイサイドの広告代理店が進めてきたイノベーションと複雑さによって、パブリッシャーが自らの事業を戦略的に考える能力が弱まっている。


Ad Ops is Now All Ops

広告運用者は既に「広告」の範囲を越え、関係するすべての役割の運用をまかなう必要が出てきています。

実際、運用型広告の重要性が高い現場では、顧客の実質的なインターフェースを運用者が務めたり、システムの管理やベンダーとのやり取りは現場にいる運用者でないと適切に実務が回せない、というケースが多いように思います。以下 Lorne の文章を引用します。


"The ad operations role has evolved tremendously. Simply among those who took part in the session, we generated a list of 20 responsibilities that now fall onto ad ops. It’s no longer just about doing QA, inventory management, trafficking, reporting and, campaign management. Ad ops now has direct responsibility for technology, vendor management, creative and developers, yield management, programmatic, block lists and change management around new sales structures, ad technology and processes."
広告運用という役割は途方もない発展を遂げました。この間のセッションに参加したメンバーで数えただけでも20ほどの広告運用の職責を挙げることができます。広告運用はもはやQA(品質保証)、在庫管理、広告取引、レポートやキャンペーンマネジメントだけに留まらず、テクノロジーそのもの、ベンダーマネジメント、クリエイティブや開発、イールドマネジメント、プログラマティック、ブロックリストの作成や営業の組織編成、プロセス管理などあらゆる分野に直接的な責任を負っています。


"We even heard that some companies are moving account management functions into ad ops to create a more “Technical Account Manager”. If that weren’t enough, there’s cross functional roles around creative, sales operations, product packaging, measurement, training all other groups, billing, closing the books, profit, costs of goods sold, partner and reach extension enablement. This progression can’t be ignored; CEOs must equip their businesses with the tools that will help their ad ops team have a greater organizational impact by driving profitable revenue."
幾つかの企業は「テクニカルアカウントマネージャー」職を作るため、アカウントマネジメントの機能を広告運用の組織に移管させているようです。それで充分でなければ、クリエイティブ、セールスオペレーション、製品パッケージや測定、他の部門へのトレーニング、請求管理、決算処理、利益管理、パートナー管理などの他部門も巻き込んだ部門横断的な役割になります。この変化は看過できません。経営者は運用者が組織の中でインパクトを出せるようなツールを準備すべきです。


広告運用チームはビジネス戦略への理解が欠かせない

このように、広告運用者が All Ops として企業の経営のあらゆる部分での重要さを増してきていることから、企業のビジネス戦略への理解が重要(Ad Ops Teams Need a Deep Understanding of Business Strategy)だということが強調されています。


"In order to perform at maximum efficiency, the CEO and CRO must educate ad operations leaders on the company vision and the revenue goals over the next three to five years."
パフォーマンスと効率を最大限に活かすためには、広告運用のリーダークラスの人材に企業のビジョンやゴールを伝えることが重要です。


広告運用者に求められる役割が変化している以上、ビジネスの全体戦略に運用者の関与は必須だとLorne は語ります。


自動化の力を過小評価しない

広告運用の進化と複雑化の代償として、マニュアル(手動)作業とそれに伴う時間が増大し、戦略的な仕事やクライアントに向けた仕事に純粋に時間を割くことが難しくなっているようです。実際、多くのトレーディングデスクは様々なプラットフォームやシステムに関わるため、内部的な業務が肥大する傾向にあります。

"Clearly, the evolution of ad ops carries with it an underlying need to alter the number of time-consuming manual processes that detract from the ability to focus on strategic or client-focused activities."

「All Ops化」している Ad Ops にとって、キャンペーンマネジメント以前に、様々なプロセスにおける事務作業のコスト肥大が問題であることが多いのは、洋の東西を問わないようです。

適切なパートナーを見つけ、テクノロジーによって内部作業を自動化し、本来の価値創出に向ける時間を捻出することが重要です。それは一般に言われる「運用は自動化して企画や設計に時間を割け」といった類の言説とは似て異なる意味になるのではないでしょうか。


運用者に投資しよう

重要性を増している広告運用/運用者に投資するのは、マーケティングにある程度以上投資している企業であれば、至極当然な流れなのかもしれません。人への投資とシステムへの投資、どちらも大切になってくるのではないでしょうか。


"Ad operations employees have an average shelf life of about 15 months per hire. Be prepared to set these hires up for career advancement and promotion opportunities in order to avoid turnover."
広告運用に従事する社員の平均寿命は15ヶ月と言われています。勤続期間を引き上げ、退職を防ぐためには、広告運用がキャリアとして認められ出世の可能性があるという状況を作る必要があります。


"The importance of ad operations, and the complexities around it, will only continue to grow. It is, therefore, incumbent on companies to invest in the right tools to enable and empower ad operations teams to be one of the most efficient, revenue-driven areas of their business."
広告運用の重要性と複雑さは引き続き増していきます。だからこそ、広告運用チームを後押しする適切なツールやシステムこそが、ビジネスにとって最も効率がよく次の成長につながる投資先なのです。


運用者のキャリアの確立と業務環境の整備は、マーケットの成長に欠かせない要素だと思います。admarketech.は今年も「State of AdOps」シリーズなどを通じて、運用者にフォーカスを当てていきたいと思います!
 

AdWordsのショッピングキャンペーンを考える

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引き続き急伸する商品リスト広告

2014年1月にリリースされた Marin Software の商品リスト広告に関するレポートで、2013年は前年と比べて約300%伸長したとの報告がありました。

2012年も同様の傾向がありましたが、クリスマスシーズンにあたる第四四半期(10月〜12月)の伸びは強烈で、11月、12月は大幅な上昇カーブを描いています。


Google Takes On Amazon: New Report Shows PLA Spend Tripled in 2013
http://www.adotas.com/2014/01/google-takes-on-amazon-new-report-shows-pla-spend-tripled-in-2013/



レポートではモバイルの影響も併せて指摘されています。商品リスト広告のモバイル表示が始まったのは2013年の3月なので、このレポートでは3四半期分しか考慮されていませんが、既に無視できない量のトラフィックがあるようです。


“PLAs delivered on smartphones offer higher engagement rates. For example, in October of 2013, CTRs were 33% higher on smartphones than on PCs and tablets combined. Mobile PLAs are cheaper and actually perform better.”
スマートフォン向け商品リスト広告は高いエンゲージメントを示している。例えば、2013年10月では、モバイルの CTR が PC(タブレット含む)より33%高かった。コストが安く、より高いパフォーマンスを誇っている。


“According to the study, Marin predicts that by December 2014, retailers will allocate one-third of their entire paid search budget towards PLAs, and that 40 percent of all PLA clicks will occur on smartphones.
レポートによると、2014年12月までに、Eコマース事業者が検索連動型広告の予算の3分の1を商品リスト広告に配分し、商品リスト広告のクリックの4割はスマートフォン経由になるのではないかと Marin Software は予測している。



という指摘にも見られるように、コストと効率の両面で(現在のところ)モバイルはポジティブな傾向が出ているため、商品リスト広告を今後牽引する大きなドライバーになると期待されているようです。



ショッピングキャンペーンとは

こういった景気のいい話が聞こえてくる一方で、商品リスト広告は多くのマーチャントにとって決して取り扱いやすい手法とは言い難い状況でした。商品リスト広告の運用には AdWords側の設定のみならずマーチャントセンター側のデータ整備と更新の仕組みを設計することが重要であるため、様々な事情で導入に二の足を踏んでいたり、運用がなかなか上手くいかないという声を時折耳にします。

そういった状況を反映してか、Google は商品リスト広告関連機能のリリースラッシュの年だった2013年から方向を変え、2014年は使いやすさを大幅に改善していくというアナウンスを行っています。

2013年の10月に発表された新しい商品リスト広告向けキャンペーンである Shopping Campaigns(ショッピングキャンペーン)は、2014年2月5日現在、まだ一部の広告主限定での利用に留まっていますが、今後数ヶ月以内にスタートすると言われています。


Introducing Shopping campaigns: a better way to promote your products on Google
http://adwords.blogspot.jp/2013/10/introducing-shopping-campaigns-better.html



Inside AdWords によると、ショッピングキャンペーンが従来の商品リスト広告キャンペーンから改善される点は以下の3つになります。

1. 商品管理に特化したキャンペーン設定
2. 商品ごとのレポート機能
3. 同カテゴリ商品のベンチマークや見積り機能


個人的には、1.の「商品管理に特化したキャンペーン設定」が大きな変化だと考えています。従来の商品リスト広告のキャンペーンでは、マーチャントフィードの設計が AdWords側での管理に密接に関係しているにも関わらず、AdWords の管理画面からマーチャントセンターの情報を参照できなかったため、マーチャントセンターと AdWords の管理者が違っていた場合の相互管理に課題がありました。入札戦略がキャンペーンごとに重なってしまい、どの入札単価が適用されているのか分からないといった運用面の複雑さも指摘されているように思います。

今回新たになったショッピングキャンペーンでは、そういった課題がずいぶんと解消されているようです。管理がしやすくなっただけでなく、レポートの強化やベンチマーク機能によって今後は今まで以上に AdWords側での最適化が注目されていくかもしれません。

ショッピングキャンペーンはまだ限定公開のため情報が少ないのですが、以下の動画や記事でも紹介されています。



9 Essential Questions & Answers About New Google PLAs - CPC Strategy
http://www.cpcstrategy.com/blog/2014/01/new-google-plas-what-you-should-know/

6 Sweet Updates To Google Shopping - CPC Strategy
http://www.cpcstrategy.com/blog/2014/01/6-sweet-updates-to-google-shopping/



ショッピングキャンペーンの新機能

それでは、従来の商品リスト広告とショッピングキャンペーンの具体的な違いとは何なのでしょうか。2014年2月時点ではまだ情報が少ないのですが、分かる範囲で順を追って確認していきたいと思います。

商品グループ(Product groups)

ショッピングキャンペーンでは、これまでの商品ターゲットではなく商品グループ(Product groups)を使用して、マーチャントセンター内の商品を分割します。分割する基準はマーチャントセンター内の商品属性である 商品タイプ、ブランド、状態、カテゴリ、アイテム ID、カスタムラベルなどです。

これだけ聞くと「別に商品ターゲットと変わらないじゃないか」という印象を受けますが、キャンペーンの作成プロセスを眺めてみると実際にはずいぶん違いがあるように思います。商品ターゲットがマーチャントセンター内の該当商品を「抽出する」イメージだったのに対し、商品ターゲットは商品を「分割する」イメージだと考えると分かりやすいかもしれません。


※これまでの商品ターゲットのイメージ
商品属性を指定して、該当する商品を抽出するイメージ



※新しい商品グループのイメージ
全商品を、属性を指定して分割。分割したグループはさらに下位レベルで分割可能


上記の図で考えると、アパレルメーカーが全商品を「靴」「帽子」「アクセサリ」などの商品グループに分割し、さらにその中の「靴」グループを「スニーカー」と「革靴」に分割して階層を作成したイメージです。

商品グループ作成時には、AdWordsアカウントとリンクされているマーチャントセンター内に該当する商品数が表示されるので、作成された商品グループにどれだけの商品が入っているのかを確認しながら作成することができます。



実際の作成プロセスについては既にヘルプが存在しているので、一度ご確認下さい。

ショッピング キャンペーンを商品リスト広告用に設定する - AdWords ヘルプ
https://support.google.com/adwords/answer/3455481#shopping_setup


キャンペーン優先度(Campaign Priority)

商品リスト広告を複数のキャンペーンで回すことが増えてきていますが、従来のキャンペーンでは、ターゲット設定を複雑にしてしまうと同じ商品を複数の広告グループから入札してしまい、どの広告グループがトリガーになって掲載されているのか分かりにくいという問題がありました。

ショッピングキャンペーンになっても複数のキャンペーンから同一商品が入札される可能性はありますが、入札のコントロールをより明確にできるよう、オプションとしてキャンペーンの優先度設定(Campaign Priority)が使用できます。

高利益商材や季節商材など、特定のキャンペーンを優先したい場合は、キャンペーンの優先度を「高」に設定することで、他のキャンペーンで同一商品が入札されていても、優先度が高いキャンペーンの単価設定を使用してオークションに参加する仕組みです。

ちなみに、デフォルトではすべてのキャンペーンの優先度が「低」に設定されています。特にキャンペーン間の優先度が変わらない場合は、入札単価の高い方が優先されます。キャンペーンの予算が不足した際には予算に余裕がある別のキャンペーンが自動的にオークションに参加するようです。


詳細分析タブ(Dimension Tab)

ショッピングキャンペーンには、詳細分析タブがあり、これまでより分析の幅が広がっています。

詳細分析タブを指定し、フィルタに使用する属性(カテゴリ、商品の種類、アイテム ID、ブランドなど)を選択すると、それに合わせて期間内の実績が表示されます。商品グループによってツリー構造のカテゴリができているはずですので、以前より分析がかなりやりやすくなっていると思います。



競合状況データ

ショッピングキャンペーンは、従来の商品リスト広告にはなかった項目が幾つか追加できます。具体的には以下の3つです。

ベンチマークデータ:商品リスト広告の実績を、類似する商品の広告と比較する指標です。ベンチマーク上限クリック単価(上限 CPC)は、他の広告主が類似商品にどの程度の入札単価を設定しているのかを示した値で、競合状況を確認できます。ベンチマーク クリック率(CTR)も同様に、自社の商品の CTR と競合他社の平均とを比較できます。

インプレッション シェア:これまでの検索やディスプレイのキャンペーンと同様、インプレッションを増やせる可能性がどの程度あるかを把握するための指標です。なお、2014年2月時点で、商品グループで確認できるインプレッションシェアは広告ランクのみの指標となっており、予算が原因で獲得できなかったインプレッションはまだ反映されていないそうです。

入札単価シミュレーション:これも今まで AdWords にあった機能がショッピングキャンペーンにも実装されたかたちです。任意の入札単価を設定した場合に獲得できるインプレッション数の推定値を確認できます。2014年2月時点ではまだ実装されていないそうです。



その他

その他にも、以下のような機能が追加されています。このあたりは毎月のようにアップデートがあると思われます。

検索ネットワーク:商品リスト広告は通常Googleプロパティ(Google.co.jpなど)に表示されますが、パートナーサイトにも表示するかどうかを選ぶことができます。(日本に商品リスト広告が掲載されるパートナーがいるのかどうか謎ですが…)

オンラインとローカル選択:マーチャントセンターに認定済みのローカル商品フィードを送信している場合は、「ローカル」を選択できます。ローカルストアフロントなども踏まえ、今後地図やGoogle+との連動が期待されていますので、以外と重要な設定になるかもしれません。

入札戦略:共有ライブラリの入札戦略が利用できます。

一括編集:各商品グループに一括で入札の変更ができます。


ショッピングキャンペーンへの移行とこれから

既に商品リスト広告を活用している場合、現時点ではキャンペーンをそのまま利用できますが、今後の活用を考えるとどこかで通常の商品リスト広告キャンペーンからショッピングキャンペーンへ移行する必要が生じてきます。

移行の順序としては、以下のヘルプにおすすめの方法が記載されています。一度ご確認下さい。

ショッピングキャンペーンを商品リスト広告用に設定する - AdWords ヘルプ
https://support.google.com/adwords/answer/3455481#recommended_steps

移行する際に気をつけたいのは、「adwords labels」属性を商品ターゲットに利用している場合です。ショッピングキャンペーンでは「adwords label」は利用できないので、新たにカスタムラベルとして使用する属性を用意する必要があります。フィード側の準備が整ってから移行する方が望ましいでしょう。

一部のEコマース事業者のように、商品リスト広告の広告費が全広告費に占める割合が大きい場合は、季節商材や高収益商材など、優先度をつけて対応しやすいものから移管することで、適切に広告が表示されないリスクを減らしながら移行することができると思います。


ショッピングキャンペーンの登場は、 Google がプロダクトフィードの活用と Eコマースの市場への本気度を表す象徴的なリリースだと思います。実際、2014年2月には Inventory-aware campaigns の拡張として DoubleClick Search Commerce Suite が登場し、統合マネジメントツールの主要機能の一つとして DoubleClick 製品としてもデビューしています。


Introducing the DoubleClick Search Commerce Suite: A smarter, faster, product-centric layer to search management
http://doubleclicksearch.blogspot.jp/2014/02/introducing-doubleclick-search-commerce.html


今後、Dynamic Remarketing やプロダクト以外のフィード広告も含め、ますますこの分野は発展を見せるのではないかと思います。引き続きウォッチしていきたいと思います!
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